(法律での最初の用例の調べ方)
前回の記事等で、情報処理促進法(情報処理の促進に関する法律)について記載した際に、前身の「情報処理振興事業協会等に関する法律」(1970)で、はじめて、「電子計算機」という用語が使われたのではないか?、ということを中途半端に書いてしまった手前、少し調べてみました。
ただ、有料の多機能の法令検索などが使えるわけでもなく、eGov法令検索では一部改正法の検索はできないので、国会の成立法案を片っ端から見ていくしかないのか(議事録の検索ではうまくいきませんでした。。)、と衆議院のHPを見始めたのですが、なかなか大変です。。
この方法で何年分かチャレンジしてみたのですが、とても無理だなと思って、(自動化なども含め)他の方法を検討し始めていたところ、以下の記事を見つけました。
こちらであれば、一部改正法を含め、制定された法令の検索ができるようなので、検索すれば最初の用例が見つけられそうです。
(最初の用例は関税定率法)
ということで、早速、上記のHPで、「電子計算機」で検索をしてみたところ、情報処理振興事業協会等に関する法律から、さらに10年以上前に、昭和34年の関税定率法の改正で、「電子計算機」という用語が初めて使われているとわかりました。。
関税定率法での用例(昭和34年〜)
このときの改正で、関税定率法の別表甲に、以下の項目が設けられていました。
一六二七
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金銭登録機、計算機その他これらに類するもの及びこれらのものの部分品
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二 その他のうち数値式電子計算機(カード式の入力機又は入出力機を使用することができるものに限るものとし、当該計算機とともに輸入する入力機、出力機、入出力機、制ぎよ機及び記憶機(入力機及び入出力機にあつては、カード式のものに限る。)を含む。)
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租税特別措置法での用例(昭和43年〜)
その後、関税定率表の別表は、何度も改正がされていくのですが、別表の形でなく、条文の本文中で「電子計算機」が用いられたのは、昭和43年の租税特別措置法の改正が最初の用例でした。
昭和43年の改正で、以下のような規定が設けられています。
(電子計算機買戻損失準備金)
第五十六条の七 青色申告書を提出する法人で電子計算機の本体及びこれに附属する機器で政令で定めるもの(以下この条において「電子計算機」という。)の製造又は販売の事業を営むものが、昭和四十三年四月一日から昭和四十六年三月三十一日までの間に開始する各事業年度(解散(合併による解散を除く。)の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度を除く。)において、電子計算機の特別買戻損失の補てんに充てるため、当該事業年度の特定電子計算機貸付会社に対する電子計算機の販売金額で第三項に規定する政令で定める特約に係るものの合計額の百分の十に相当する金額以下の金額を損金経理の方法(確定した決算において利益の処分により積立金として積み立てる方法を含む。)により電子計算機買戻損失準備金として積み立てたときは、当該積み立てた金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
2〜9 (略)
日本では、1960年代に、各社がコンピュータの開発を進めた、という記事を読んだことがありますが、昭和43年(1968年)の段階で、コンピュータを導入する企業への税制上の優遇措置が定められていたのですね。。
情報処理振興事業協会等に関する法律での用例(昭和45年〜)
前回ご紹介した、情報処理振興事業協会等に関する法律は昭和45年(1970年)の制定ですので、上記の関税定率法、租税特別措置法より後の用例となります。取り急ぎ、訂正させていただきます。。
ちなみに、この法律では、以下のような規定が設けられています。電子計算機の利用の促進という意味では、最初の用例ですし、意義深いものとは思うのですが、、いずれにしても不確かなことで発信してしまいすみません。。
(目的)
第一条 この法律は、電子計算機の利用及びプログラムの開発を促進し、プログラムの流通を円滑にし、並びに情報処理サービス業等の育成のための措置を講ずること等によつて、情報化社会の要請にこたえ、もつて国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
しかし、(これまでの苦労は何だったのだろうという徒労感はおいておくとして、、)このようなデータベースがあるととても助かりますね。
公開していただいた名古屋大学の先生方のおかげです。ありがとうございます。
(参考)