デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

行政手続等の棚卸調査について(1)

 (行政手続等の棚卸調査とは?)

 前回まで、申請、処分通知などの行政手続のデジタル化を可能とする「デジタル手続法」(情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律)について見てきましたが、実際にそれぞれの行政手続をデジタル化するには、その手続の根拠法令の所管省庁が、省令等でデジタル化を可能とする旨を定めることが必要でした。

 そうした各省庁の行政手続のオンライン化等の状況のフォローアップのために実施されているのが、「行政手続等の棚卸調査」です。国の行政機関(24府省)を対象に、各府省が所管する法令において規定されている全手続(約6万件)について、手続名、根拠法令、手続類型、手続主体、受け手、オンライン化の状況、手続件数等の回答を求めるような調査となっています。

 

(調査の根拠等)

 この「行政手続等の棚卸調査」ですが、政府統計に関するHP(e-Stat)を見ると、行政手続のオンライン化状況等の実態把握のため、平成15年(2003年)から、実施されていることがわかります。「デジタル手続法」の前身となる「行政手続オンライン化法」が成立したのが2002年12月ですので、その後に始まった調査と分かります。

 なお、この政府統計のHPでは、調査の実施主体は、情報通信技術(IT)総合戦略室(平成30年度以前は総務省)となっていますが、現在は、デジタル庁で実施されています。(いずれこの表記は時点修正されるのだろうと思います。。)

 いずれにしても、現在、「行政手続等の棚卸調査」は、デジタル手続法第16条に基づいて、デジタル庁が実施しています。ちなみに、根拠条文は以下のようになっており、調査結果のエクセル表がHP上でも公表されています。(参考欄にリンクを載せておきます。かなり容量が大きいですが。。)

 

(情報通信技術を活用した行政の推進に関する状況の公表)
第十六条 国の行政機関等は、電子情報処理組織を使用する方法により行うことができる当該国の行政機関等に係る申請等及び処分通知等その他この法律の規定による情報通信技術を活用した行政の推進に関する状況について、インターネットの利用その他の方法により随時公表するものとする。
2 内閣総理大臣は、前項の規定により公表された事項を取りまとめ、その概要について、インターネットの利用その他の方法により随時公表するものとする。

 

 せっかくの機会なので、この棚卸調査でわかる行政手続の全体像や具体的な手続の例などについて、次回はご紹介したいと思います。余談ですが、この調査、公表月は「おおむね3月」とされているのですが、今年については、まだ公表がされていません。。デジタル庁に移管されて最初の取りまとめですし、いろいろ大変なんだろうなと拝察しますが、とりあえずがんばってほしいなと、陰ながら応援しています。

 

(参考)

www.e-stat.go.jp

cio.go.jp