(IT書面一括法とは?)
「IT書面一括法」とは、民民間での書面交付などを義務づける個々の法律を一括して改正し、電子メールなどでの代替を可能にした法律です。正式名称は、「書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律」です。
「IT書面一括法」は、2000年に成立し、これによって49本の法律で、書面による手続等のデジタル化が図られました。
ところで、この法律では、「情報通信の技術」という用語が使われています。IT(情報技術)という言葉が定着してきたからでしょうか。2000年といえば、当時の森首相が「IT革命」を掲げたり、これを「イット革命」と読んだとか、、なんかそんなことがあったような気がしますね。。
(大臣の趣旨説明)
この法律の趣旨についてですが、以下は、第150回国会での衆議院商工委員会(平成12年11月7日)の議事録から、IT書面一括法に関する平沼大臣(当時)の趣旨説明の部分を抜粋したものです。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、民間における商取引において書面の交付や書面による手続を義務づけている関係法律について、書面の交付等にかえて、政令で定めるところにより、顧客の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信技術を利用する方法であって府省令で定めるものにより提供をすることができることとし、その場合には、書面の交付等をしたものとみなすものとしております。
第二に、組合における議決権につき書面による行使等を義務づけている関係法律について、組合員は、定款で定めた場合には、書面をもってする議決権の行使にかえて、議決権を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信技術を利用する方法であって府省令で定めるものにより行うこと等ができることとしております。
ここで言う情報通信技術を利用する方法としては、電子メール、ホームページ、ファクスなどを想定しております。
いかがでしょうか?赤字の部分など、その後、通則法として定められることとなるe文書法の「交付等のデジタル化」に関する規定とよく似ていませんか。でも、e文書法やデジタル手続法のような通則法の形で定めるのと違って、このように個々の法律の条文を一つずつを改正するのは、とても大変ですね。
それと、全く余計なことですが、情報通信技術として、「ファクス」が想定されているというのが、時代を思い起こさせますね。。(青字はそれだけの意味です。。)
(構成)
IT書面一括法は、金融庁、総務省、財務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省が所管する各法律の改正を一括して行うものでした。
このため、各省庁ごとに改正法律をまとめる形で、以下のような章立てとなっています。
目次
第一章 金融庁関係(第一条―第九条)
第二章 総務省関係(第十条・第十一条)
第三章 財務省関係(第十二条)
第七章 国土交通省関係(第四十四条―第五十条)
附則
上記の各章のカッコの中にある各条文で、一つの他の法律を改正するという形になっています(例えば、第1条では、証券取引法を改正。)。個々の法律改正の内容が気になったので、まとめた情報がないか探してみたのですが、ネット上では見当たりませんでした。改正に関する新旧対照表などもネット上には残っていないようですが、IT書面一括法の本文などの情報は、参考欄に載せたHPで確認できますので、ご関心のある方はご参照いただければと思います。
さて、IT書面一括法による、個々の法改正の内容について、今となってまとめてみることに、需要があるのか分かりませんが、個人的には、法制度のデジタル化の歴史を見る上では、大事な情報なんじゃないかと、勝手ながら思っています。なので、次回以降、個々の法律の改正内容の可視化を試みたいと思います。(そういう意味のないのがいいじゃない!と思ってくださる方が、一人でもいてくれればうれしいです。。)
(参考)