(金融庁関係(第1条〜第9条))
それでは、2000年に成立したIT書面一括法で改正された法律について、実際の条文を見ていこうと思います。まずは、金融庁関係の法律です。
IT書面一括法の第1条から第9条では、以下の各法律について、下線部を追加し、赤字の部分にあるようなデジタル化を可能とする改正がされています。(なお、デジタル化を可能とする部分以外の細かい改正は省略しています。)
◯証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)
第四十条 (略)
証券会社は、前項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該顧客の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて内閣府令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該証券会社は、当該書面を交付したものとみなす。
◯投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)
第二十六条 (略)
2 (略)
3 投資信託委託業者は、前項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該受益証券を取得しようとする者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて内閣府令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該投資信託委託業者は、当該書面を交付したものとみなす。
◯外国証券業者に関する法律(昭和四十六年法律第五号)
※証券取引法の改正内容を準用するものでしたので、省略します。
◯有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律(昭和六十一年法律第七十四号)
第十四条 (略)
2 投資顧問業者は、前項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該顧客の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて内閣府令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該投資顧問業者は、当該書面を交付したものとみなす。
◯金融先物取引法(昭和六十三年法律第七十七号)
第六十九条 (略)
2 金融先物取引業者は、前項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該顧客の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて内閣府令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該金融先物取引業者は、当該書面を交付したものとみなす。
◯保険業法(平成七年法律第百五号)
第二百九十六条 (略)
2 保険仲立人は、前項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該顧客の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて内閣府令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該保険仲立人は、当該書面を交付したものとみなす。
第三百九条 (略)
2 前項第一号の場合において、保険会社は、同号の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該申込者等の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて内閣府令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該保険会社は、当該書面を交付したものとみなす。
3~10 (略)
◯資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)
第三十八条 (略)
2~4 (略)
5 取締役は、前項の規定による資産流動化計画の謄本又は抄本の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該優先出資の申込者の承諾を得て、当該資産流動化計画の謄本又は抄本に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて内閣府令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該取締役は、当該資産流動化計画の謄本又は抄本を交付したものとみなす。
6~7 (略)
◯証券取引法及び金融先物取引法の一部を改正する法律(平成十二年法律第九十六号)
※証券取引法と金融先物取引法を改正するための法律を改正するもので、デジタル化に関する部分以外の細かい改正でしたので、省略しました。
◯特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律等の一部を改正する法律(平成十二年法律第九十七号)
附則第二条
2 (略)
3 第一項の場合において、旧特定目的会社の取締役は、旧資産流動化法第三十八条第四項又は第百十条第五項の規定による資産流動化計画の謄本又は抄本の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該優先出資の申込者又は特定社債の応募者の承諾を得て、当該資産流動化計画の謄本又は抄本に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて内閣府令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該取締役は、当該資産流動化計画の謄本又は抄本を交付したものとみなす。
4、5 (略)
以上です。金融庁関係は、8本の法律で、書面の交付のデジタル化が図られました。
(第二章 総務省関係(第10条〜第11条))
次に総務省関係の法律の改正です。
◯電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)
(情報通信の技術を利用する方法)
第百二条の十四の二 指定無線設備小売業者は、前条第二項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該購入者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて総務省令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該指定無線設備小売業者は、当該書面を交付したものとみなす。
◯下請代金支払遅延等防止法(昭和三十一年法律第百二十号)
第三条 (略)
2 親事業者は、前項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該下請事業者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて公正取引委員会規則で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該親事業者は、当該書面を交付したものとみなす。
総務省関係は、この2本です。概ね金融庁関係の法律と同様の改正内容になっていますね。書面の交付のデジタル化については、e文書法では、通則法として定めていましたが、IT書面一括法では、ほぼ同様の内容について、個々の法律の改正(を一括して行う形)で対応していることが確認できたかと思います。
ここまでで、条文数で言えば、約4分の1です。今回はここまでにして、次回は、財務省関係(第12条)、厚生労働省関係(第13条〜第20条)を見ていきたいと思います。
(参考)