デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

デジタル改革関連法(2021年)について(2)

(公金受取口座登録法について)

 公金受取口座登録法の正式名称は、「公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律」です。

 マイナポータル等から預貯金口座の登録ができるようにし、緊急時の給付金や児童手当などの公金給付に、登録した口座の利用を可能とするものです。

 主な条文の内容は、以下のような感じになっています。ここだけ見ると、分かりやすいですね。。

 

(目的)
第一条 この法律は、各行政機関の長等が行う公的給付の支給等に係る金銭の授受に利用することができる預貯金口座を、内閣総理大臣にあらかじめ登録し、当該行政機関の長等が当該金銭の授受をするために当該預貯金口座に関する情報の提供を求めることができることとするとともに、特定公的給付の支給を実施するための基礎とする情報について個人番号を利用して管理できることとする等により、公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施を図ることを目的とする

(登録)
第三条 預貯金者は、公的給付の支給等に係る金銭の授受に利用することができる一の預貯金口座について、登録を受けることができる
2〜4 (略)

 

(預貯金口座管理法について)

 預貯金口座管理法の正式名称は、「預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律」です。

 本人の同意を前提に、一度に複数の預貯金口座への付番が行える仕組みや、マイナポータルからも登録できる仕組みを創設し、相続時や災害時に、預貯金口座の所在を国民が確認できる仕組みを創設する内容の法律です。

 法律の趣旨からして、重要そうな条文の内容は、以下のとおりです。

 

 (金融機関に対する申出等)
第三条 預貯金者は、特定の金融機関が管理する当該預貯金者を名義人とする全ての預貯金口座について、当該金融機関が個人番号行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第五項に規定する個人番号をいう。以下同じ。)を利用して管理することを希望する場合には、主務省令で定めるところにより、当該金融機関に対し、その旨の申出をすることができる
2〜6 (略)

(災害時における預貯金口座に関する情報の提供)
第七条 災害に際し災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号)が適用された同法第二条第一項に規定する災害発生市町村の区域に当該災害が発生した日において居住していた預貯金者は、当該区域における同条に規定する救助の実施状況その他の事情を勘案して行政庁が定める日までの間、その指定する金融機関が管理する当該預貯金者を名義人とする全ての預貯金口座について、主務省令で定めるところにより、預金保険機構に対し、次に掲げる事項の通知を求めることができる
一 金融機関の店舗の名称
二 預貯金の種別及び口座番号
2〜5 (略)

 

 赤字の下線部分を見ると分かりますが、マイナンバーと紐づけて預金口座を管理する制度を設けて、災害時や相続時などにその情報を提供できるようにしようというものなんですね。

 

自治体システム標準化法)

 最後に、自治体システム標準化法ですが、正式名称は、「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」です。

 地方自治体の情報システムについて、必要な機能などの基準を策定し、自治体のシステムの標準化を推進するという内容の法律です。

 標準化の対象となるシステムについては、第2条で以下のように規定されており、各自治体で共通するような事務を政令で定めることとされています。

(定義)
第二条 この法律において「地方公共団体情報システム」とは、地方公共団体が利用する情報システムであって、情報システムによる処理の内容が各地方公共団体において共通し、かつ、統一的な基準に適合する情報システムを利用して処理することが住民の利便性の向上及び地方公共団体の行政運営の効率化に寄与する事務として政令で定める事務(以下「標準化対象事務」という。)の処理に係るものをいう。
2、3 (略)

 

 この規定を受けて、「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律第二条第一項に規定する標準化対象事務を定める政令」で、児童手当の支給など18の事務が標準化対象事務として定められています。

 

 以上で、デジタル改革関連法の全体像は一応見ることができたかなと思います。自治体のシステムの標準化などは、これからの取組が期待されますね。件数の多い行政手続は、自治体が扱っていることが多いですし、システムが標準化されればデジタル化も加速化されると思います。引き続き、応援したいと思います。

 

(参考)

www.digital.go.jp

www.digital.go.jp