デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン

(デジタル臨時行政調査会とは?)

 少し前になりますが、6月3日に、政府のデジタル臨時行政調査会で、「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」が策定されました。

 デジタル臨時行政調査会とは、岸田政権の成立後、2021年11月から、内閣総理大臣決裁で開催されている会合(会長:内閣総理大臣)で、事務局をデジタル庁が担当しています。デジタル臨調と省略される事が多いです。

 会議の設置紙から、その目的を見てみると以下のようになっています。

 

デジタル化の急速な進展が世界にもたらす根本的な構造変化、発展可能性の拡大を踏まえ、デジタル改革、規制改革、行政改革に係る横断的課題を一体的に検討し実行することにより、国や地方の制度・システム等の構造変革を早急に進め、個人や事業者が新たな付加価値を創出しやすい社会とすることを目的として、デジタル臨時行政調査会(以下「調査会」という。)を開催する。

 

 デジタル改革、規制改革、行政改革を一体的に進めるとされていることがポイントかなと思います。

 

(規制の一括見直しプラン)

 このデジタル臨調ですが、2021年12月には、デジタル改革、規制改革、行政改革に通底する5つの原則(デジタル原則)を共通の指針として策定しています。デジタル原則の5つの項目は以下のとおりです。

① デジタル完結・自動化原則
アジャイルガバナンス原則(機動的で柔軟なガバナンス)
③ 官民連携原則
④ 相互運用性確保原則
⑤ 共通基盤利用原則

 それから、約半年を経て、このデジタル原則に照らした規制の一括見直しプランが、6月に策定されたという流れにまります。

 一括見直しプランでは、2025年までの今後3年間を集中改革期間として、法令などによるアナログ規制を、法改正などにより見直すこととしています。(4,000のアナログ規制を撤廃というような報道等もありましたが、一括見直しプランの別表1のリストを見ると「見直し」という表現が適当かと思います。)

 

(具体的な見直しの内容)

 この一括見直しプランでは、代表的なアナログ規制として、目視規制、定期検査・点検規制、実地監査規制、常駐・専任規制、書面掲示規制、対面講習規制、往訪閲覧・縦覧規制に該当すると解される約 5,000 条項の法令等の規定を洗い出し、デジタル原則への適合性についての点検を行い、約4,000条項について見直しの方針を確定したということです。

 先程、少し先走って書いてしまいましたが、具体的な規制の見直しの内容は、一括見直しプランの別表1に掲載されています。以下に抜粋を載せておきますが、各アナログ規制の項目について、デジタル化の段階を示す「Phase」の見直しの結果が一番右側に記載されていることが分かりますね。

一括見直しプラン別表1(抜粋)

 

 ただ、よく見てみると、見直し前も後も同じPhaseというものも散見されますし、方法としても、必ずしも、法令改正を行うとは限らないのかなと思います。実際の資料などの一次情報に当たってみると、4,000項目の撤廃とは、少しイメージが違うかなとか、ついつい言いたくなってしまいますが、そもそも、これだけの数のアナログ規制の点検を行うということ自体すばらしいですし、今後の法令改正等を楽しみにしたいと思います。(念の為ですが、あくまでデジタル庁を応援するスタンスです。)

 

 以上、規制の見直しの具体例まで簡単にご紹介しましたが、各アナログ規制のPhaseの考え方など、ご興味のある方は、ぜひ報告書本文をご覧いただければと思います。(デジタル臨時行政調査会第4回の資料から見ることができます。)

 

(参考)

www.digital.go.jp