デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。(週3〜4回更新)

第208回国会で成立したデジタル化関連法(5)外為法、こども基本法、国立国会図書館法

外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律)

 いわゆる「外為法」の改正ですが、4月20日に成立し、同日に交付されています(法律第28号)。

 法律案の提出理由を見ると、「支払規制及び資本取引規制をより一層効果的なものとするため、暗号資産に関する取引を資本取引規制の対象とするとともに、暗号資産交換業者に資産凍結措置に係る確認義務を課す等の措置を講ずる」とされています。

 暗号資産とか、資本取引規制とか、デジタル化やグローバル化に関係があることは感じ取れるものの、正直、よく分からなかったのですが、財務省のHPを見ると、ロシアのウクライナ侵攻に関する経済制裁の実効性を更に高めるために、暗号資産に関する取引を規制対象にするという背景があるようです。詳しくは、以下のHPをご参照ください。

www.mof.go.jp

 

 以上で、第208回国会で成立したデジタル化関係の閣法については、一通り見れたかなと思います。

 

(こども基本法

 ここからは、議員立法について見ていきます。

 まず、こども基本法です。6月15日に成立し、22日に公布されています(法律第77号)。

 こども基本法は、内閣提出のこども家庭庁設置法案と一緒に内閣委員会で審議されていました。

 こども施策に関する基本法ですので、こども基本法がデジタル化関連法というわけではないですが、こども施策の関係者相互の連携確保に関して、「こどもに関する支援に資する情報の共有を促進するための情報通信技術の活用」といったことが盛り込まれています。

 

(関係者相互の有機的な連携の確保等)

十三条 国は、こども施策が適正かつ円滑に行われるよう、医療、保健、福祉、教育、療育等に関する業務を行う関係機関相互の有機的な連携の確保に努めなければならない。

2 都道府県及び市町村は、こども施策が適正かつ円滑に行われるよう、前項に規定する業務を行う関係機関及び地域においてこどもに関する支援を行う民間団体相互の有機的な連携の確保に努めなければならない。

3、4 (略)

 

第十四条 国は、前条第一項の有機的な連携の確保に資するため、個人情報の適正な取扱いを確保しつつ、同項の関係機関が行うこどもに関する支援に資する情報の共有を促進するための情報通信技術の活用その他の必要な措置を講ずるものとする。

2 都道府県及び市町村は、前条第二項の有機的な連携の確保に資するため、個人情報の適正な取扱いを確保しつつ、同項の関係機関及び民間団体が行うこどもに関する支援に資する情報の共有を促進するための情報通信技術の活用その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 

 こどもに関する支援については、プッシュ型の支援等の充実が求められていますし、情報通信技術の活用や手続のデジタル化が一層進むことを期待したいと思います。

 

国立国会図書館法等の一部を改正する法律)

 国立国会図書館法等の改正法は、5月25日に成立し、6月1日に公布されています(法律第57号)。

 2012年の国立国会図書館法の改正で、納本制度に準じて、民間で出版された電子書籍、電子雑誌等を収集・保存する規定が新設されています。現在は、経過措置として、無償かつDRM(技術的制限手段)のないオンライン資料に限定して、収集が行わっれていますが、今回の改正で、この経過措置を定めている附則の規定が削除されます。要すれば、有償又はDRMが付されたオンライン資料(有償等オンライン資料)について、収集が開始されることとなります。(2023年1月から開始。)

 ちなみに、2012年に設けられた電子書籍等の収集・保存に関する規定は、以下のようになっています。

 

第二十五条の四 第二十四条及び第二十四条の二に規定する者以外の者は、オンライン資料(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつては認識することができない方法により記録された文字、映像、音又はプログラムであつて、インターネットその他の送信手段により公衆に利用可能とされ、又は送信されるもののうち、図書又は逐次刊行物(機密扱いのもの及び書式、ひな形その他簡易なものを除く。)に相当するものとして館長が定めるものをいう。以下同じ。)を公衆に利用可能とし、又は送信したときは、前条の規定に該当する場合を除いて、文化財の蓄積及びその利用に資するため、館長の定めるところにより、当該オンライン資料を国立国会図書館に提供しなければならない

www.ndl.go.jp

 

 なお、法律案は国会議員と内閣が提出することができまして、厳密には、衆議院議員提出法律案(衆法)、参議院議員提出法律案(参法)、内閣提出法律案(閣法)の3種類があります。今回ご紹介した議員立法は、いずれも「衆法」で、衆議院法制局のHPで概要資料等を確認することができます。

www.shugiin.go.jp

 

 3つご紹介できたので、今回は、とりあえずここまでにします。こども基本法は、デジタル技術の活用(とデータの利活用?)、外為法国立国会図書館法は、デジタル技術の進展による新たな業態への規制といえるでしょうか。デジタル化に関する法律の類型化も、またいつか考えてみたいと思います。

 

(参考)

www.clb.go.jp