デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

法令等のデジタル原則適合性の確認

(法令等のデジタル原則適合性の確認)

 デジタルに関する法制度ということからは少し逸れますが、以前に、6月3日にデジタル臨調で策定された「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」で、代表的なアナログ規制5000条項について、デジタル原則への適合性の点検が行われたことをご紹介しました。

 そのときは、あまり気にしていなかったのですが、デジタル臨調での牧島大臣の説明資料中には、デジタル臨調の規制改革の特徴として、以下のような記載がありました。

 

特徴3.「現在の改革」のみならず、「将来の改革」も

現在の法令の見直しだけでなく、将来の法令がその時代の技術に適合できるような仕組みを構築

 

 前回まで、通常国会で成立した法律について見てきましたが、デジタル化を進める内容の法律だけでも、結構な数がありました。ですので、幅広くデジタル原則への適合性をチェックするとなると、相当に大変だろうなと思うのですが、デジタル庁で事前に法案を確認するプロセスがあれば、後になってから点検・見直しをするよりも、効率的にデジタル化が進みそうです。

 

(一括見直しプランの記載ぶり)

 新規の法令等の事前の確認について、一括見直しプラン本文には、以下のような記載がありました。(一括見直しプランは目次がないので、読み進めないと分からくて、ちょっと不便です。。)

 

(法令等のデジタル原則適合性を自律的かつ効率的に確認できる体制及びプロ セスの構築)

 新規及び既存法令等のデジタル原則への適合性を確認するための立案過程等における手続については、令和6年常会提出法律案のうちから確認を試行的に行うべく、公の会議体を含めデジタル庁の体制を整備するとともに、令和4年度内に詳細設計を行う。(P18)

 

(デジタル原則適合性確認プロセスの立法プロセス等への組込み)【令和6年常会提出法律案のうちから試行的に実施】

 新規法令等のうち、法律案・政令についてはデジタル庁が内閣法制局予備審査前までに主体的に確認するとともに、省令以下については各府省庁が決定前(パブリックコメント前)までに確認する。既存法令等については、今後、技術の進展、国民の要望、執行状況等を踏まえ、 公の会議体による検討を経てデジタル庁が点検する。その際、税関係法令等の取扱いや規制の政策評価等の既存の取組との連携については、詳細設計に際し検討する。(P19) 

 

 この適合性確認のプロセスを経たものを公表してもらえれば、デジタル化に関連があるか、一件ずつ法律を見て確認する必要がなくなりますね。まあ、誰に頼まれてるわけでもないんで、僕が見る必要は、そもそもないわけなのですが。。

 いずれにしても、本年度内に詳細設計が行われるようですので、今後の検討を期待して見守りたいと思います。

 

(法令データのデジタル正本)

 また、一括見直しプラン中で、「法令等のデジタル原則適合性の確認プロセス」の項目の次には、「法令データのデジタル正本の提供体制の確立」に関する記載がありました。抜粋すると以下の通りです。

 

(法令データのデジタル正本の提供体制の確立)

 国のインフラである法令等のデジタル正本(最新版の公式法令データベース)が常に参照できる環境の早期実現を目指し法制事務のデジタル化を進めるため、別紙の e-LAWS の機能拡充等に係る工程表を踏まえ、デジタル臨時行政調査会作業部会法制事務のデジタル化検討チームを引き続き活用し、法制事務に係る調査、データ構造の検討、エディタ開発等を行う。(P20)

 

 現在も、e-LAWSで法令データは提供されているのですが、更新が少し遅かったりもするので、正本として扱えるような正確なデータベースがあると、とても助かるなあと思いました。

 

 そういえば、一括見直しプランには、電子官報の実現(P12)の項目で、「インターネット版官報」も「官報」として位置づける、といった記載もありました。作業部会(5月20日)の資料1(P13)を見ると、インターネット版官報を原本として位置づけるという論点だったようですが、いずれにしても、原本や正本など、一度考え方を確認しておきたいなと思います。

 

(参考)

ura49.hateblo.jp

www.digital.go.jp