(押印・書面の見直し)
コロナ禍におけるテレワーク等の推進やデジタル化への対応の観点から、書面・押印規制に関する制度見直しが進められてきました。このうち、押印を求める行政手続については、15,611の手続の99%の押印義務が廃止される方針が、2021年3月に示されています。(廃止されない1%は、印鑑証明付のもの、登記印・登録印で、118手続です。)
この方針に基づいて、省令等で定められている押印義務については、各府省で随時対応されてきましたが、法律に基づく押印義務については、2021年のデジタル社会形成整備法の中で、一括改正が行われています。
(デジタル社会形成整備法)
以前にデジタル改革関連法の記事でもご紹介しましたが、デジタル社会形成基本法は、2021年に、デジタル社会形成基本法やデジタル庁設置法が制定された時に、併せて審議・成立した法律です。(デジタル改革関連法と総称された6つの法律のうちの1つです。)
デジタル社会形成整備法では、様々な法律改正が行われていますが、押印の見直しの関係では、以下の22法律の改正が行われました。
③鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律
④政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律
⑥民法
⑧戸籍法
⑩刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律
⑪通関業法
⑫死産の届出に関する規程
⑬国民年金法
⑯公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律
⑰建築士法
⑳不動産特定共同事業法
㉒不動産取引の円滑化のための地価公示法及び不動産の鑑定評価に関す
る法律の一部を改正する法律
法律改正のパターンとしては、署名押印や記名押印に関する規定について、押印の部分を廃止するという内容のようです。これを一つづつ見ていくことに意味があるのか、以前に、IT書面一括法(2000年)で改正された個々の法律を見て、思いのほか大変だったこともあり、少し迷っているのですが、この機に、一度、全部の改正内容を見ておこうかなと思います。
(金融庁関係の法律)
押印の見直しの改正は、追加された部分を示すだけだと意味が分かりませんので、見え消しの形でご紹介していこうかなと思います。
例えば、公認会計士法については、以下のような形になります。
第三十四条の十二
2 監査法人が会社その他の者の財務書類について証明をする場合には、当該証明に係る業務を執行した社員は、当該証明書にその資格を表示して自署し、かつ、自己の印を押さなければ署名しなければならない。
監査報告書による財務書類の証明について、業務を執行した社員の「自署+押印」が求められていたものが、「署名」のみに改正されています。
なお、22本の改正法のうち、金融庁関係は、この公認会計士法のみです。
とりあえず、次回以降、所管省庁ごとに見ていきたいと思います。意味があるか分かりませんが、あくまで備忘ですので。。
(参考)