(第4回デジタル臨時行政調査会)
7月5日の、デジタル庁HPの新着情報に、「デジタル臨時行政調査会(第4回)の議事録等を掲載しました」との掲載がありました。
以前にご紹介しましたが、6月3日に開催された第4回デジタル臨調では、典型的なアナログ規制の点検見直しを進める「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」が取りまとめられています。
このため、会議の議事録には、牧島大臣からの「一括見直しプラン」に関する説明や、岸田総理からの今後の方針の提示や各大臣への指示などが掲載されています。今後のデジタル化に関する法改正等にも関わる事項と思いますので、今回は、関連部分の議事録を抜粋して、ご紹介させていただきたいと思います。
(牧島大臣発言部分)
牧島デジタル大臣: 私から、デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン(案)について御説明いたします。
1ページ目は、「一括見直しプランによる規制改革の意義について」です。デジタル臨調では、デジタル化を阻害しているアナログ規制を一掃するため、「面の改革」「テクノロジーベースの改革」「将来の改革」という「3つの特徴」を持った改革を進めています。
2ページ目は、「デジタル原則に照らした規制の点検・見直し作業」です。点検対象は、4万にも及ぶ法令、通知・通達等ですが、まずは7つの典型的なアナログ規制を定める法令約5,000条項を対象に点検見直し作業を行ってまいりました。
3、4ページ目は、目視・実地監査規制の見直しの進め方を整理したものです。こうした統一的な整理の下で、各省庁とも共同で点検・見直しを行っています。
5ページ目は、「約5,000条項に係る点検・見直し作業の現状」です。点検・見直しの結果、既に約4,000条項の見直しの方針が確定しています。残りの条項についても、本年9月末までに各省庁が工程表を調査会に提出し、年内には方針が確定する予定です。
(中略)
14ページ目は、「法令等のデジタル原則適合性の確認プロセス」です。法令等のデジタル原則適合性の確認プロセスを立法プロセスへと組み込むための検討や法令データのデジタル正本が常に参照できる環境の構築も進めていきます。
(中略)
20ページ目は、「デジタル原則を踏まえた規制の横断的な見直しのスケジュール」です。令和7年6月までの3年間の集中改革期間において、見直しを計画的に進めていきます。
私からの御説明は以上ですが、この一括見直しプランについて、本日、取りまとめさせていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
(岸田総理発言部分)
岸田総理の発言には、今後の方針や各大臣への指示が含まれています。以下、発言部分を抜粋させていただきます。(下線は、当方で付してます。)
岸田内閣総理大臣: まず、有識者の皆様方、今日も活発な御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。デジタル臨調を立ち上げて以来半年、まずは約1万の法令を総点検し、本日、約4,000条項の見直し方針を確定できました。
残る法令の条項、さらには3万の通知・通達等も含めて、工程表に沿って見直しを進め、社会のデジタル化を阻むアナログ的規制を3年間で一掃し、新たな成長産業の創出、人手不足の解消、生産性の向上や所得の増大等を実現いたします。
今後、我が国の経済成長には、デジタルの力を十分に生かすことのできる社会制度への転換が不可欠です。デジタル臨調は、その実現を阻む古い規制と行政組織の改革を省庁横断的に、加速的に進める実行部隊として立ち上げました。
引き続き、私を会長に、同種の規制を一括して見直す「面の改革」、技術の進展に即した「テクノロジーベースの改革」、未来の法令を念頭に置いた「将来の改革」の3つを掲げ、スピードを最優先に実行していきます。
今後について、次のとおり各大臣に指示をいたします。牧島大臣は、テクノロジーマップの整備・活用の仕組みを早期に具体化してください。また、新規立法等のデジタル原則の適合性確認プロセスを早急に整理し、段階的に順次立法プロセスへの取組を行ってください。
さらに、規制改革推進会議で具体化されたスタートアップ・イノベーションや人への投資の促進策のほか、全国各地における医療・介護サービスへのアクセス向上に向けたデジタル化推進策を、各大臣とも連携しながら直ちに実行に移し、改革を実現してください。
行政も無謬性神話から脱却し、アジャイル型の対応が不可欠です。霞が関の職員が前例にとらわれず、変化に柔軟に対応できるよう、牧島大臣、そして金子大臣は提言の実現に取り組んでください。
特に、財政支出を伴う事務事業で成果目標を定量的に立て、執行段階から成果を検証し、効果の低いものは見直していくことが重要です。約5,000の事務事業のレビューの方法を順次見直し、EBPMの手法の実践につなげていくことで、事業効果の検証を行ってください。
民間人材の採用円滑化と国家公務員の働き方改革・リスキリングは、デジタル庁に限らず、各府省が専門人材を確保する上でも重要です。牧島大臣、川本総裁、二之湯大臣は、引き続き連携して、具体策策定に取り組んでください。
以上です。
いかがでしょうか。デジタル臨調での取組については、引き続き、同種の規制を一括して見直す「面の改革」や、技術の進展に即した「テクノロジーベースの改革」を、スピードを最優先に実行することとされています。また、「テクノロジーマップの整備・活用の仕組みを早期に具体化」するよう、牧島大臣に指示をされていますので、新しい技術を活用した法制度のデジタル化が更に進められるものと思われます。
初心にかえって、デジタル庁を応援する気持ちで、引き続き、見守りたいと思います。
(参考)