(電子媒体の規定)
前回ご紹介した、令和4年度税制改正に関する所得税法等の改正の中で、磁気テープという電子媒体(磁気なので電子媒体と言っていいのか、よく分かりませんが。。)の規定を削除するという改正がありました。
僕がPC6001を使っていた昭和の頃には、カセットテープでプログラムを記録したりするのが普通だったので、磁気テープというのは、フロッピーディスクが普及する以前の媒体だと分かるのですが、今の人たちには、カセットテープ自体がなじみがないかもしれないですね。いずれにしても、その時代の名残のような規定が残っていたわけで、現行法で、どのような電子媒体の規定があるのか、少し調べてみようと思いました。
(現行法における電子媒体の規定)
政省令になると、CDロムなどの具体的な媒体名が規定されたりバリエーションが増えるようなのですが、法律上の電子媒体の規定は、「光ディスク」「磁気ディスク」「磁気テープ」の3種類のようでした。あとは、「記録媒体」「記録用の媒体」などの抽象的な規定もあるようですが、手続きを定める規定の場合には、電子媒体が例示されることが多いようです。
ちなみに、e-Gov法令検索では、「光ディスク」9件、「磁気ディスク」34件、「磁気テープ」12件となりますが、これは、法律数なので、実際に規定の置かれている条項数は、一つ一つ確認していく必要があります。附則の規定などは除いて、本則の条項をカウントした結果としては、以下の通りとなりました。
・光ディスク:9法律、23条項
・磁気ディスク:32法律、110条項
・磁気テープ:10法律、24条項
磁気ディスクが多いですが、ざっと見ると、電子媒体としてのフロッピーディスクではなく、HDDを想定していると思われるものも数多く含まれていました。(前回ご紹介した、税理士名簿の改正前の条文(「磁気ディスクをもって調製する」)も、HDDが想定されていたもののように思われます。)
(「一括見直しプラン」での記載)
6月にデジタル臨調で策定された「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」では、「FD/CD/DVD等でのデータ保存・提出を要求」されることに対する経済界からの要望を踏まえて、FD等を用いる申請等について、以下のような見直しを行うことが記載されています(「一括見直しプラン」P13)。
(6)FD 等を用いる申請・届出等のオンライン化
FD や CD、DVD 等の記憶媒体での提出を求める申請・届出等において、データの授受等に媒体を要さないオンライン対応の可能性について検討する。
電子媒体での提出等については、当時の先端技術を導入したものも多いのだと思いますが、現在はメールに添付できるファイルの容量も増えてますし、クラウドの活用などもできますので、そうした新たな技術に対応できるような見直しが進むことを期待して、見守りたいと思います。
今回は、条項数のカウントで結構手間取ってしまったので、次回に、各電子媒体の規定の特徴などを見てみたいと思います。
(参考)