デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

電子媒体の規定について(2)

(「光ディスク」に関する規定)

 前回の続きになりますが、現行法上、電子媒体に関する規定は、以下の通りとなっています。(附則にある規定などは除外しています。)

 ・光ディスク:9法律、23条項

 ・磁気ディスク:32法律、110条項

 ・磁気テープ:10法律、24条項

 このうち、「光ディスク」に関する23条項の規定については、いずれも税関係の法律に置かれた規定となっていました。

 税関係の手続における提出手段として、電子媒体での提出が認められているというもので、例えば、以下のような規定が置かれています。

 

所得税法(昭和四十年法律第三十三号)

(支払調書等の提出の特例)
第二百二十八条の四 第二百二十五条第一項(支払調書)、第二百二十六条第一項から第三項まで(源泉徴収票)又は第二百二十七条から前条までの規定により提出するこれらの規定に規定する調書、源泉徴収票及び計算書(以下この条において「調書等」という。)のうち、当該調書等の提出期限の属する年の前々年の一月一日から十二月三十一日までの間に提出すべきであつた当該調書等の枚数として財務省令で定めるところにより算出した数が百以上であるものについては、当該調書等を提出すべき者は、これらの規定にかかわらず、当該調書等に記載すべきものとされるこれらの規定に規定する事項(以下この条において「記載事項」という。)を次に掲げる方法のいずれかによりこれらの規定に規定する税務署長に提供しなければならない。
一 財務省令で定めるところによりあらかじめ税務署長に届け出て行う電子情報処理組織(情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第六条第一項(電子情報処理組織による申請等)に規定する電子情報処理組織をいう。)を使用する方法として財務省令で定める方法
二 当該記載事項を記録した光ディスクその他の財務省令で定める記録用の媒体(以下この条において「光ディスク等」という。)を提出する方法

 

 ちなみに、第1号の「電子情報処理組織を使用する方法」というのは、e-taxのことですね。また、「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律」というのは、デジタル手続法のことです。

 

(「磁気ディスク」に関する規定)

 次に、「磁気ディスク」に関する110条項の規定については、行政手続等に関する提出媒体として定められているものが、24条項で、その他の86条項は、名簿や登録簿等を「磁気ディスクをもって調製する」というように、名簿等の作成方法を定める規定となっていました。

 名簿等の作成方法を定める規定としては、例えば、以下のようなものがあります。

 

◯戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)

第百十九条 前条第一項の場合においては、戸籍は、磁気ディスクに記録し、これをもつて調製する

 

 「磁気ディスク」については、提出用の媒体としては、フロッピーディスクを思い浮かべてしまいますが、このような「磁気ディスクをもって調製する」の規定では、ハードディスクが念頭に置かれているものと思われます。

 そういう意味では、「磁気ディスク」とういのは、それほど旧い媒体の規定ではないのかもしれませんが、他の媒体やクラウド等の利用可能性を明確化するためには、より抽象的な規定に改正することも考えられるところです。(そのような観点から、先の通常国会で、税理士法の改正が行われていることは、「所得税法等の改正」を紹介した回でご紹介したとおりです。)

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(「磁気テープ」に関する規定)

 最後に、「磁気テープ」に関する24条項の規定については、行政手続等に関する提出媒体として定められているものが、6条項で、登録簿等の作成方法として定めているものが、18条項でした。

 提出媒体としての「磁気テープ」は、おそらくもう用いられていないのだと思います。一方で、登録簿等の作成方法としての「磁気テープ」は、カセットテープではなく、LTOなのではないかなと思います。(ご存じの方がいたら教えて下さい。。)

 

 デジタル臨調の「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」では、FD等を用いる申請等について、オンライン対応の可能性を検討するとされていましたので、上記の規定のうち、行政手続等の提出媒体として定められているもののみが対象になるのでしょうか。いずれにしても、今後の検討を見守りたいと思います。

 

(参考)

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