デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。(週3〜4回更新)

FAXに関する規定について

(「ファクシミリ」に関する規定)

 前回まで、現行法上の電子媒体の規定について見てきましたが、FAXに関してはどうなっているのでしょうか。

 FAXについては、法律上は、「ファクシミリ」という用語が用いられています。法律上で条文に規定があるものは、12の法律の35規定でした。内訳を見ると、行政手続等に関するものはなく、投票に関するもの(11規定)と、FAXを使った行為を規制するもの(23条項)で、ほぼ全てとなっていました。

 2000年のIT書面一括法の趣旨説明では、「情報通信技術を利用する方法としては、電子メール、ホームページ、ファクスなどを想定しております。」と説明されていましたが、現行の法律上の規定を見る限りでは、行政手続のデジタル化に関して、現在、FAXは活用されていないようですね。

 なお、余計なことかもしれませんが、デジタル手続法第3条の定義規定を見ると、電磁的記録というのは、コンピュータ(電子計算機)による読み取りを前提としているので、FAXは、「情報通信技術を利用する方法」ではあっても、電磁的記録を伝達する方法とはいえないのだと思います。

(定義)
第三条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
七 電磁的記録 電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。

 

(具体的な規定の例)

 少し話が脇道にそれましたが、ファクシミリに関する具体的な規定を備忘的に見ておきたいと思います。

 まず、投票に関するものとしては、以下のようなものがあります。

公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)

不在者投票
第四十九条 (略)
7 選挙人で船舶安全法(昭和八年法律第十一号)にいう遠洋区域を航行区域とする船舶その他これに準ずるものとして総務省令で定める船舶(以下この項において「指定船舶」という。)に乗つて本邦以外の区域を航海する船員(船員法(昭和二十二年法律第百号)第一条に規定する船員をいい、実習を行うため航海する学生、生徒その他の者であつて船員手帳に準ずる文書の交付を受けているもの(以下この項において「実習生」という。)を含む。)であるもの又は選挙人で指定船舶以外の船舶であつて指定船舶に準ずるものとして総務省令で定めるものに乗つて本邦以外の区域を航海する船員(船員法第一条に規定する船員をいい、船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)第九十二条第一項の規定により船員法第二条第二項に規定する予備船員とみなされる者及び船員の雇用の促進に関する特別措置法(昭和五十二年法律第九十六号)第十四条第一項の規定により船員法第二条第二項に規定する予備船員とみなされる者並びに実習生を含む。)であるもののうち選挙の当日前条第一項第一号に掲げる事由に該当すると見込まれるものの衆議院議員の総選挙又は参議院議員通常選挙における投票については、同項及び第一項の規定によるほか、政令で定めるところにより、第四十二条第一項ただし書、第四十四条、第四十五条、第四十六条第一項から第三項まで、第四十八条及び第五十条の規定にかかわらず、不在者投票管理者の管理する場所において、総務省令で定める投票送信用紙に投票の記載をし、これを総務省令で指定する市町村の選挙管理委員会の委員長にファクシミリ装置を用いて送信する方法により、行わせることができる

 やはりFAXについては、媒体としては、紙と考えたほうがしっくりくる気がきます。

 次に、FAXを使った行為の規制ですが、以下のようなものがあります。

貸金業法(昭和五十八年法律第三十二号)
(取立て行為の規制)
第二十一条 貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。
一 正当な理由がないのに、社会通念に照らし不適当と認められる時間帯として内閣府令で定める時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。
二 債務者等が弁済し、又は連絡し、若しくは連絡を受ける時期を申し出た場合において、その申出が社会通念に照らし相当であると認められないことその他の正当な理由がないのに、前号に規定する内閣府令で定める時間帯以外の時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。
三 正当な理由がないのに、債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所に電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所を訪問すること。
九 債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。

 

 何というか、時代を感じますね。。

 

(FAXの廃止についての報道)

 コロナ禍で、FAXの使用がテレワークの阻害要因になっている等の理由で、中央省庁でFAXを廃止するという動きがあった気がしますが、その後どうなったのでしょうか。

 直下のネット上の記事を見ると、なかなか難しかったようですが、最近、その後の動きとして、外務省が、ほぼFAXを廃止したとの記事もありました(2つ目の記事)。公式な発表等も見つからず、あまり事情がよくわからないので、ご紹介にとどめておきますが、興味深い内容ですので、ご関心のある方は、ご一読いただければと思います。

www.j-cast.com

www.itmedia.co.jp

 

(参考)

ura49.hateblo.jp

ura49.hateblo.jp