(デジタル手続法に基づく外務省令)
デジタル手続法に基づく主務省令について見ていく3回目ですが、今回は、建制順で、外務省の「主務省令」を見てみたいと思います。
デジタル手続法に基づく、外務省の「主務省令」として定められているのは、「外務省の所管する法令の規定に基づく情報通信技術を活用した行政の推進等に関する規則」になります。
全体の構成としては、以下の通り7条で構成されています。法務省令は6条、総務省令は15条でしたが、それぞれの役所でまちまちなんですね。
第一条(趣旨)
第二条(定義)
第三条(申請等に係る電子情報処理組織)
第四条(電子情報処理組織による申請等)
第五条(情報通信技術による手数料の納付)
第六条(申請等のうちに電子情報処理組織を使用する方法により行うことが困難又は著しく不適当と認められる部分がある場合)
第七条(電子情報処理組織による処分通知等)
構成としては、第1条、第2条で、趣旨、定義といった総則的なものが置かれた後に、第3条から第6条で、申請についての規定が置かれ、第7条で、処分通知について定めています。
法務省令に近い構成かと思いましたが、申請の第3条から第6条までは、総務省令と似た構成になっています。
(申請等に関する規定)
具体的な条文を見てみますと、第3条の電子情報処理組織に関する規定では、「外務省の定める技術的基準に適合する」という要件が置かれています。法務省令では、「行政機関等の定める技術的基準に適合するもの」とあったのですが、「外務省で」定めるとされているところが違いますね。ちなみに、どんな基準か探してみようとしたんですが、検索では見つけられませんでした。。第4条の方は、あまり特徴はなさそうですね。
(申請等に係る電子情報処理組織)
第三条 法第六条第一項に規定する主務省令で定める電子情報処理組織は、外務省の使用に係る電子計算機と申請等をする者の使用に係る電子計算機であって外務省の定める技術的基準に適合するものとを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。
(電子情報処理組織による申請等)
第四条 電子情報処理組織を使用して申請を行う者は、当該申請等に関する法令の規定において申請等の書面等に記載すべきこととされている事項その他当該申請等について外務省が定める事項を、当該申請等をする者の使用に係る電子計算機であって外務省が定める技術的基準に適合するものから入力して、申請等を行わなければならない。
次に、デジタル手続法第6条第6項の部分オンライン規定については、主務省令の第6条で規定されています。行政機関等の裁量に委ねている点は、これまで見てきた他の主務省令と同様ですね。
(申請等のうちに電子情報処理組織を使用する方法により行うことが困難又は著しく不適当と認められる部分がある場合)
第六条 法第六条第六項に規定する主務省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
一 申請等をする者について対面により本人確認をする必要があると行政機関等が認める場合
二 申請等に係る書面等のうちにその原本を確認する必要があるものがあると行政機関等が認める場合
(処分通知の規定)
最後に、処分通知に関する規定を見ておきたいと思います。
(電子情報処理組織による処分通知等)
第七条 法第七条第一項に規定する主務省令で定める電子情報処理組織は、行政機関等の使用に係る電子計算機と処分通知等を受ける者の使用に係る電子計算機であって行政機関等の定める技術的基準に適合するものとを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。
申請と違って、こちらは、「行政機関等の定める技術的基準に適合するもの」とされていますね。よく見ると、申請の方は、外務省の電子計算機と接続して受け付けることになっているのに対して、処分通知は、行政機関等の電子計算機を接続して通知することになっています。
外務省の手続というと、パスポート申請が思い浮かびますが、旅券法の規定を見ると、申請は、「都道府県知事を経由して外務大臣に」行うこととされていて(第3条第1項)、交付は、都道府県知事が行うこととされています(第8条第1項)。こうしたことが関係しているのかなと思ったのですが、そもそも、旅券法の第8条は、デジタル手続法施行令の別表で適用除外になっていますね。いずれにしても、外務省の手続では、処分通知の業務を行政機関等が行う場合が多いという背景があるのかなと、今日のところは推察するに止めたいと思います。
ここまで、3つの「主務省令」を見てきましたが、意外に奥が深いので、もう少しだけ、見てみたいと思います。次は、手続の多そうな国交省や厚労省の例を見てみたいと思います。
(参考)