デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

デジタル手続法に基づく主務省令(4)厚生労働省令、国土交通省令

(デジタル手続法に基づく厚生労働省令、国土交通省令

 デジタル手続法に基づく主務省令について見ていく4回目ですが、今回は、厚生労働省令と国土交通省令について、見てみます。

 デジタル手続法に基づく、厚生労働省の「主務省令」として定められているのは、「厚生労働省の所管する法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則」、国土交通省の「主務省令」として定められているのは、「国土交通省の所管する法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則」、になります。名称は、ほぼ同じですね。

 全体の構成としては、以下の通り、いずれも13条で構成されています。


厚生労働省令】
第一条(趣旨等)
第二条(定義)
第三条(申請等に係る電子情報処理組織)
第四条(申請等の入力事項等)
第五条(電子署名等)
第六条(署名等に代わる措置)
第七条(申請等のうちに電子情報処理組織を使用する方法により行うことが困難又は著しく不適当と認められる部分がある場合)
第八条(処分通知等に係る電子情報処理組織)
第九条(処分通知等の入力事項等)
第十条(電子情報処理組織を使用する方法により処分通知等を受ける旨の表示の方式)
第十一条(処分通知等のうちに電子情報処理組織を使用する方法により行うことが困難又は著しく不適当と認められる部分がある場合)
第十二条(縦覧等の方法)
十三条(作成等の方法)

国土交通省令
第一条(趣旨)
第二条(定義)
第三条(申請等に係る電子情報処理組織)
第四条(電子情報処理組織による申請等)
第五条(情報通信技術による手数料の納付)
第六条(申請等のうちに電子情報処理組織を使用する方法により行うことが困難又は著しく不適当と認められる部分がある場合)
第七条(処分通知等に係る電子情報処理組織)
第八条(電子情報処理組織による処分通知等)
第九条(処分通知等を受ける旨の表示の方式)
第十条(処分通知等のうちに電子情報処理組織を使用する方法により行うことが困難又は著しく不適当と認められる部分がある場合)
第十一条(電磁的記録による縦覧等)
第十二条(電磁的記録による作成等)
十三条(氏名又は名称を明らかにする措置)

 

 構成としては、趣旨、定義の後に、申請についての規定、処分通知についての規定、作成・縦覧に関する規定が置かれている点でほぼ同様ですが、電子署名や手数料の規定を独立させるかなどで異なっています。

 

(申請等に関する規定)

 具体的な条文は、これまで見てきた各主務省令と比べて、それほど特徴はなさそうですが、厚生労働省令の部分オンライン規定(デジタル手続法第6条第6項に基づく規定)について定める第7条については、第3号として、「虚偽がないかの確認の必要性」を掲げています

(申請等のうちに電子情報処理組織を使用する方法により行うことが困難又は著しく不適当と認められる部分がある場合)
第七条 法第六条第六項に規定する主務省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
一 申請等をする者について対面により本人確認をする必要があると当該申請等が行われるべき行政機関等が認める場合
二 申請等に係る書面等のうちにその原本を確認する必要があるものがあると当該申請等が行われるべき行政機関等が認める場合
三 申請等に係る事項に虚偽がないかどうかを対面により確認する必要があると当該申請等が行われるべき行政機関等が認める場合

 

 他の主務省令では、本人確認と原本確認は掲げられていましたが、虚偽の確認というのは測ったと思います。現場の苦労が思い起こされる規定だなあと、個人的には感想を持ちました。

 

(縦覧等・作成等の規定)

 最後に、縦覧等・作成等について、法務省令や外務省霊にはありませんでしたが、厚生労働省令、国土交通省令ともに置かれています。作成等の条文は以下のとおりです。

厚生労働省令】
(作成等の方法)
十三条 行政機関等は、法第九条第一項の規定により電磁的記録の作成等をする場合においては、当該書面等に記載すべき又は記載された事項を行政機関等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへ記録する方法又は磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。)をもって調製する方法により作成等を行うものとする。

国土交通省令
(電磁的記録による作成等)
第十二条 行政機関等が、法第九条第一項の規定により電磁的記録により作成等を行う場合においては、当該事項を行政機関等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法又は磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。)をもって調製する方法により作成等を行うものとする。

 

 いずれも、ほぼ同様の規定になっているのですが、少し気になったのは、赤文字の部分です。この場合、パソコンのハードディスクは、「電子計算機に備えられたファイル」になるのでしょうから、「磁気ディスク」は、フロッピーディスクが想定されるのですかね。外付けのハードディスクかもしれませんが。。いずれにしても、クラウドの利用などは難しそうな規定になっていますね。

 

 以上で、5省分の省令を見てみましたが、全く同じものは、一つもなかったですね。「デジタル手続法に基づく主務省令でデジタル化が可能」と分かった気になっていましたが、実際に条文を見てみないと分からないことが多い、ということは分かりました。うまくまとめられませんが、デジタル手続法の主務省令については、これで一区切りにしたいと思います。

 

(参考)

ura49.hateblo.jp