デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

e-文書法に基づく主務省令(3)環境省令

e-文書法に基づく環境省令)

 前二回に続いて、e-文書法の「主務省令」について見ていきたいと思います。

 e-文書法に基づく「主務省令」について、環境省では、個別法を対象としたものと、通則法的なものとの、両方を定めているようでしたので、今回は、環境省令を見てみたいと思います。

 e-文書法に基づく、環境省の「主務省令」として、通則法的に定められているのは、「環境省の所管する法令に係る民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則」になります。

 全体の構成としては、以下の通り、9条(と別表)で構成されています。これまでご紹介した外務省令(4条)と法務省令(12条)の中間的な条文数ですね。

第一条(趣旨)
第二条(定義)
第三条(法第三条第一項の主務省令で定める保存)
第四条(電磁的記録による保存)
第五条(法第四条第一項の主務省令で定める作成)
第六条(電磁的記録による作成)
第七条(法第六条第一項の主務省令で定める交付等)
第八条(電磁的記録による交付等)
第九条(電磁的方法による承諾)

 

 構成としては、趣旨、定義に続いて、保存、作成、交付等について規定されていて、すっきりしている印象を個人的には持ちました。

 

(適用対象の指定に関する規定)

 この通則法的な環境省令の適用対象の指定は、3条(保存)、5条(作成)については別表で、7条(交付等)については、条文中で定められています。なお、本文で、対象を定めている第7条は、以下のような規定ぶりになっています。

(法第六条第一項の主務省令で定める交付等)
第七条 法第六条第一項の主務省令で定める交付等は、大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)第十八条の十五第一項、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第十二条第九項、第十二条の二第十項、第十四条第十三項、第十四条の二第四項、第十四条の三の二第三項(第十四条の六において準用する場合を含む。)、第十四条の四第十三項及び第十四条の五第四項並びに廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和四十六年政令第三百号)第六条の十二第二号(第六条の十五第二号において、その規定の例によることとされる場合を含む。)並びに廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和四十六年厚生省令第三十五号)第八条の四の六及び第八条の十七の三の規定に基づく書面の交付等とする。

 

 赤文字で示した4つの法令の条項が対象となっています。「及び」・「並びに」の用例の勉強にはなりますが、別表のほうが格段に見やすいですね。

 全く余談ですが、andの意味で、原則的に使うのは、「及び」です。3つ以上の事項を並べる場合「A、B、C及びD」のように、最後の部分で使います。大きい段階の接続と小さい段階の接続がある場合には、「及び」と「並びに」で使い分け、大きい段階の接続には「並びに」を、小さい段階の接続には「及び」を使います。この条文は、その典型的な例になっているのと思うのですが、いかがでしょうか。。

 

(個別法と対象とした環境省令)

 上記で紹介した通則法的な「主務省令」のほかに、環境省では、個別法を対象として、e-文書法に基づく主務省令も定めています。絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律第二十三条第一項に規定する個体等登録機関に係る民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令」が、その具体例で、構成は以下の通りとなっています。

第一条(趣旨)
第二条(定義)
第三条(法第三条第一項の主務省令で定める保存)
第四条(電磁的記録による保存)
第五条(法第四条第一項の主務省令で定める作成)
第六条(電磁的記録による作成)
第七条(法第五条第一項の主務省令で定める縦覧等)
第八条(電磁的記録による縦覧等)
第九条(法第六条第一項の主務省令で定める交付等)
第十条(電磁的記録による交付等)
第十一条(電磁的方法による承諾) 

 

 縦覧等について定める7条、8条が加わって、11条の構成になっています。なお、3条、5条、7条、9条で対象手続等を定めているため、別表はありません。

 

 e-文書法では、対象手続を定めないといけないので、デジ手法と比べて煩雑だなあと思っていましたが、このように主務省令をいくつかに分けて定めたときには、対象が明確になるので、その点では見やすくていいなと思いました。

 とりあえず、典型的なパターンは網羅できたかと思うので、e-文書法の主務省令を見ていくのは一区切りにしたいと思います。実際に条文を見てみると、いろいろ奥が深いので、見てみてよかったと、勝手に思っています。。

 

(参考)

ura49.hateblo.jp