デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

個人情報保護法の改正(2020年)

個人情報保護法の改正(2020年))

 これまで、デジタル化に伴う、データの利活用に関しては、官民データ活用促進基本法などを見てきたところですが、個人情報の扱いが重要なテーマとなります。

 個人情報保護法は、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的として、個人情報の取扱いについて定める法律ですが、情報通信技術の進展によって、制定当時(2003年)には想定されていなかったような個人情報の利活用が可能となり、国境を超えたデータ流通も活発化する中で、こうした環境の変化に対応するための法改正が、まず2015年に行われ、その際、3年ごとの見直し規定が設けられました。

 そして、その3年ごと見直し規定による法改正が2020年に行われ、この4月から全面施行されています。

 個人情報保護委員会の資料によると、この3年ごと見直し規定に基づく改正では、個人の権利利益の保護と活用の強化、 越境データの流通増大に伴う新たなリスクへの対応、 AI・ビッグデータ時代への対応等を目的として、
・利用停止・消去等の拡充、漏えい等の報告・本人通知
・不適正利用の禁止
仮名加工情報の創設、個人関連情報の第三者提供制限
・越境移転に係る情報提供の充実 等

の改正が行われたと説明されています。

 

(データ利活用の促進)

 この2020年の改正のうち、データ利活用の促進に関するものとしては、「仮名加工情報の創設」「個人関連情報の第三者提供制限」の規定があります。
 まず、仮名加工情報についてですが、改正前の規定では、個人を特定できないように個人情報を加工した場合でも、加工前の情報と同様に規制の対象となっていたため、氏名等を削除して、他の情報と照合しない限り個人を特定できないように個人情報を加工した場合は(仮名加工情報)、仮名加工情報取扱事業者の内部分析目的の利用に限定する等を条件に、開示・利用停止請求への対応等の義務が緩和されました(2条9項、10項、35条の2、35条の3)。

 また、個人関連情報の第三者提供についてですが、提供元では個人データに該当しないものの、提供先において他の情報と照合することで、容易に個人を特定することができる情報(個人関連情報)については、これを第三者に提供する場合、提供元が提供先に対して本人の同意を得ていること等を確認する義務が新設されました(26条の2第1項)。

 ちなみに、仮名加工情報、仮名加工取扱事業者の定義は、以下のようになっています。

第二条
9 この法律において「仮名加工情報」とは、次の各号に掲げる個人情報の区分に応じて当該各号に定める措置を講じて他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報をいう。
一 第一項第一号に該当する個人情報 当該個人情報に含まれる記述等の一部を削除すること(当該一部の記述等を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。
二 第一項第二号に該当する個人情報 当該個人情報に含まれる個人識別符号の全部を削除すること(当該個人識別符号を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。

10 この法律において「仮名加工情報取扱事業者」とは、仮名加工情報を含む情報の集合物であって、特定の仮名加工情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものその他特定の仮名加工情報を容易に検索することができるように体系的に構成したものとして政令で定めるもの(第三十五条の二第一項において「仮名加工情報データベース等」という。)を事業の用に供している者をいう。ただし、第五項各号に掲げる者を除く。

 

個人情報保護法の改正(2021年))

 以上は、2020年の改正で、今年の4月から全面施行されているものですが、その後さらに、2021年に、個人情報保護法行政機関個人情報保護法独立行政法人個人情報保護法の3法を統合して1本の法律とする法改正が行われています。

 これは、近年の情報化の進展や個人情報の有用性の高まりを背景として、官民や地域の枠を超えたデータ利活用が活発化している一方で、法制度の縦割りに起因する規制の不均衡や不整合がデータ利活用の妨げになっているということで、デジタル社会形成基本法が制定された際に、併せて改正が行われたものです。

 

 2021年の改正については、一部がこの4月から施行されていますが、かなり大きな改正内容なので、次回に見てみたいと思います。

 

(参考)

www.ppc.go.jp

ura49.hateblo.jp