デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

デジタル法令用語:デジタル

(だいたいの意味)

 「デジタル化に関する法令用語」というように、デジタルという言葉を何気なく使っていますが、そもそもどういう意味なのでしょうか。

 デジタルと検索すれば、いろいろな説明が出てくると思いますが、 情報を段階的に区切って表すことで、数字の0と1で表せるようにすることで、コンピュータで扱えるようにした情報の表現方法のように考えておけばいいのかなと思います。

 デジタルに対するアナログとの違いについて、連続的に秒針が動くアナログ式の時計と、時間が数字で表示されるデジタル式の時計とで説明されることなどがありますが、最近の要望としては、アナログとの堆肥というよりも、コンピュータで扱えるような(法令用語的に言うと、電子計算機による可読性のある)情報である点に重点が置かれて用いられる例が多いように思います。

 

(法令上の定義)

 法令上の定義ですが、法律でデジタルそのものの定義を置く例はないようです。

 「デジタル化」「デジタル信号」「デジタル方式」などのように、特に定義なく用いられています。

 「デジタル化」については、平成16年のコンテンツ促進法で用いられています。「デジタル信号」は、平成21年の電波法改正で、地上デジタル放送の定義が置かれた際に、「デジタル信号によるテレビジョン放送のうち、静止し、又は移動する事物の瞬間的影像及びこれに伴う音声その他の音響を送る放送(以下この号において「地上デジタル放送」という。)」という形で規定されています。「デジタル信号」は、平成24年の著作権法改正で、「デジタル方式の録音又は録画」という語が規定されています。この頃から、「デジタル」という語が日常的にも使われるようになり、法令上も用いられるようになったものと思われます。

 なお、「デジタル社会」については、デジタル社会形成基本法で定義規定が置かれています。

◯デジタル社会形成基本法(令和三年法律第三十五号)
(定義)
第二条 この法律において「デジタル社会」とは、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて自由かつ安全に多様な情報又は知識を世界的規模で入手し、共有し、又は発信するとともに、官民データ活用推進基本法(平成二十八年法律第百三号)第二条第二項に規定する人工知能関連技術、同条第三項に規定するインターネット・オブ・シングス活用関連技術、同条第四項に規定するクラウド・コンピューティング・サービス関連技術その他の従来の処理量に比して大量の情報の処理を可能とする先端的な技術をはじめとする情報通信技術(以下「情報通信技術」という。)を用いて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。第三十条において同じ。)として記録された多様かつ大量の情報を適正かつ効果的に活用すること(以下「情報通信技術を用いた情報の活用」という。)により、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる社会をいう。

 「デジタル社会」については、電磁的記録による大量の情報を、情報通信技術を用いて活用するということがポイントかなと思います。

 

(用例)

◯コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律(平成十六年法律第八十一号)
(適切な保存の促進等)
十三条 国及び地方公共団体は、インターネットその他の高度情報通信ネットワークの利用を通じてコンテンツが適切かつ有効に発信されるよう、コンテンツの制作、収集、保存若しくは発信又は既存のコンテンツのデジタル化を行う体制の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。

 

著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
九の七 放送同時配信等 放送番組又は有線放送番組の自動公衆送信(当該自動公衆送信のために行う送信可能化を含む。以下この号において同じ。)のうち、次のイからハまでに掲げる要件を備えるもの(略)をいう。
ハ 当該自動公衆送信を受信して行う放送番組又は有線放送番組のデジタル方式の複製を防止し、又は抑止するための措置として文部科学省令で定めるものが講じられているものであること。

 

 法律単位で構成などを見ていくときに、関連の用語も調べているのですが、細かく書くと長くなってしまうので、用語を別に整理してみようと思いました。ただの備忘ですが、もしかしたら、誰かの理解の役に立つかもしれませんし。