デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

デジタル法令用語:電子計算機

(だいたいの意味)

 法令上、「電子計算機」あるのは、コンピューターのことです。「コンピューター」と規定する法律もあるのですが、圧倒的に「電子計算機」が多いです。(e-gov法令検索で検索してみると、「コンピューター」は55件、「電子計算機」は1217件(法令数)となります。)

 

(法令上の定義)

 法令上の定義ですが、法律で「電子計算機」の定義を置く例はないようです。「電子計算機(出入力装置を含む。)」という形で、ディスプレイやキーボードを含む一般的なコンピューターであることを示すような規定ぶりとなっているものはあります。

 「電子計算機」については、昭和62年の刑法改正で、電子計算機使用詐欺罪が設けられたのが、最初の例ではないかと思うのですが、少し自信がないので、誤りであればご指摘ください。なお、この時の刑法の一部改正では、電磁的記録の定義規定(第7条の2)なども新設されており、この定義が、他の多くの法律でも用いられています。

◯刑法(明治四十年法律第四十五号)
(定義)
第七条の二 この法律において「電磁的記録」とは、電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。

 ここでも「電子計算機」は、特に定義なく用いられています。

 

(用例)

◯健康保険法(大正十一年法律第七十号)
(被保険者等記号・番号等の利用制限等)
第百九十四条の二 
4 何人も、次に掲げる場合を除き、業として、被保険者等記号・番号等の記録されたデータベース(その者以外の者に係る被保険者等記号・番号等を含む情報の集合物であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。)であって、当該データベースに記録された情報が他に提供されることが予定されているもの(以下この項において「提供データベース」という。)を構成してはならない。

 

◯建設業法(昭和二十四年法律第百号)
(登録)
第二十七条の三十一
2 国土交通大臣は、前項の規定により登録を申請した者(以下この項において「登録申請者」という。)が、電子計算機(入出力装置を含む。)及び経営状況分析に必要なプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。)を有し、かつ、第二十七条の二十三第一項の規定により経営事項審査を受けなければならないこととされる建設業者(以下この項において単に「建設業者」という。)に支配されているものとして次のいずれかに該当するものでないときは、その登録をしなければならない。(略)

 

 電子計算機が、コンピューターっていうのが、最も法令用語の典型のような気がしますが、意外に浸透しているかもしれないですね。今日のところはここまでで。