(だいたいの意味)
「磁気ディスク」というのは、フロッピーディスクやハードディスクのことです。フロッピーディスクについては、ハードディスクに対して、フレキシブルディスクと呼ぶこともあります。法律上の「磁気ディスク」の規定だけだと、どちらを指すのか分からない上に、光ディスク(DVDなど)を含めて、下位の法令で定められている場合もあって、とかく難儀することが多いです。
「磁気テープ」の規定が、徐々に「磁気ディスク」に置き換わっていった時期からすると、本来的には、フロッピーディスクを指していたのだと思いますが、今では、「準ずる方法」を含めて電磁的記録媒体を広く指すような使われ方になっていて、むしろ運用上はフロッピー以外を指しているという規定と実態が乖離した状況にもなっています。
(法令上の定義)
法律で、最初に「磁気ディスク」の規定が置かれたのは、昭和63年の不動産登記法と商業登記法の改正のときのようです。定義規定はないですが、磁気テープと同様に、かっこ書きで、「準ずる方法による記録媒体」も含まれることが定められており、これに基づいて、広く電磁的記録媒体を指すことになっています。
◯不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
五 登記記録 表示に関する登記又は権利に関する登記について、一筆の土地又は一個の建物ごとに第十二条の規定により作成される電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)をいう。
九 登記簿 登記記録が記録される帳簿であって、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。以下同じ。)をもって調製するものをいう。
以下は、磁気ディスクに光ディスクを含むと明記している例です。(混乱させるつもりはないのですが。。)
◯特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律施行令(平成十二年政令第百三十八号)
(磁気ディスクによる届出又は請求の方法)
第九条 磁気ディスク(フレキシブルディスクカートリッジ及び光ディスクをいう。以下同じ。)により法第五条第二項の規定による届出又は法第六条第一項若しくは第八項の請求(以下この条において「届出等」という。)をしようとする者は、主務省令で定めるところにより、当該届出等に係る事項を記録した磁気ディスクを、法第五条第二項の規定による届出にあっては都道府県知事に、法第六条第一項又は第八項の請求にあっては主務大臣にそれぞれ提出しなければならない。
(用例)
◯建設業法(昭和二十四年法律第百号)
(電子計算機による処理に係る手続の特例等)
第三十九条の四 許可申請書の提出その他のこの法律の規定による国土交通大臣又は都道府県知事(登録経営状況分析機関を含む。)に対する手続であつて国土交通省令で定めるもの(次項において「特定手続」という。)については、国土交通省令で定めるところにより、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。同項において同じ。)の提出により行うことができる。
2 前項の規定により行われた特定手続については、当該特定手続を書面の提出により行うものとして規定したこの法律の規定に規定する書面の提出により行われたものとみなして、この法律の規定(これに係る罰則を含む。)を適用する。この場合においては、磁気ディスクへの記録をもつて書面への記載とみなす。(預金等に係る債権の額の把握)
◯デジタル庁の所管する法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則(令和三年デジタル庁令第三号)
(電磁的記録による作成等)
第十三条 行政機関等が、法第九条第一項の規定により電磁的記録により作成等を行う場合においては、当該作成等に係る事項を行政機関等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法又は磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができるものを含む。)をもって調製する方法により作成等を行うものとする。
作成・保存用の媒体と、物理的な情報の授受のための媒体と両方の意味での用例があります。そういうところも磁気テープの規定と似ていますね。今日はここまでで。
(参考)