デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

デジタル法令用語:デジタル教科書

(だいたいの意味)  

 デジタル教科書は、紙の教科書の代わりに使用できる電子的な教材です。あまり説明するまでもなく、イメージは持っていただけるのかなと思いますが、基本的には、紙の教科書と同内容をデジタル化するというものです。

 

(法令上の定義)

 法令上の定義については、学校教育の情報化の推進に関する法律第2条で以下のような定義が置かれています。

 (定義)
第二条
4 この法律において「デジタル教材」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)として作成される教材をいう。
5 この法律において「デジタル教科書」とは、教科書に代えて、又は教科書として使用されるデジタル教材をいう。

 

 また、文部科学省組織規則(平成十三年文部科学省令第一号)第30条第3項では、「学習者用デジタル教科書(学校教育法施行規則第五十六条の五第一項に規定する教科用図書代替教材をいう。)」と定義されています。

 法令用語として、学校教育法等では、教科書ではなく、教科用図書の語が使われていますので、「デジタル教科書」も学校教育法等では使われていません。

 

(その他)

 学校教育法等での、デジタル教科書を指す規定については、以下のようになっています。

◯学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)
第三十四条 小学校においては、文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならない。
② 前項に規定する教科用図書(以下この条において「教科用図書」という。)の内容を文部科学大臣の定めるところにより記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)である教材がある場合には、同項の規定にかかわらず、文部科学大臣の定めるところにより、児童の教育の充実を図るため必要があると認められる教育課程の一部において、教科用図書に代えて当該教材を使用することができる。

◯学校教育法施行規則(昭和二十二年文部省令第十一号)
第五十六条の五 学校教育法第三十四条第二項に規定する教材(以下この条において「教科用図書代替教材」という。)は、同条第一項に規定する教科用図書(以下この条において「教科用図書」という。)の発行者が、その発行する教科用図書の内容の全部(電磁的記録に記録することに伴つて変更が必要となる内容を除く。)をそのまま記録した電磁的記録である教材とする。
2 学校教育法第三十四条第二項の規定による教科用図書代替教材の使用は、文部科学大臣が別に定める基準を満たすように行うものとする。

 この文部科学大臣が別に定める基準は、「学校教育法第三十四条第二項に規定する教材の使用について定める件」という文部科学省告示の中で示されています。

 

 eラーニングなどのデジタル教材では、スライドに動画が埋め込まれていたり、小テストがついていたり、そもそも動画教材だったりするわけですが、検定済みの教科書の代替は、同じ内容のものというのが基本のようですね。なお、学校で使われているドリルなどは補助教材という扱いになります。まずは、デジタル化の利点を生かした補助教材が増えていくといいのかなと思います。いずれにしてもこうしたことは、専門の方がたくさんいらっしゃると思うので、つっこまれないよう、この辺にしておきます。

 

(参考)

www.mext.go.jp