(パスポートのオンライン申請)
2023年3月27日から、パスポートの更新の申請がオンラインでできるようになりました。オンラインの手続は、マイナンバーカードとスマホを使って、政府が運営するマイナポータルから行う形になります。
これまでの申請では、申請時と受取時に2回窓口へ出向く必要がありましたが、オンラインで更新申請を行えば、受取時のみ窓口に行けばいのでその分便利になりますね。公表資料などをよく見ると、すべての都道府県でオンライン申請ができるのは、有効期間の残っているパスポートの更新の場合のみで、新規発行や期限切れの場合は、一部の都道府県でしか対応がないようですが、それでもとても便利になると思います。
各都道府県の窓口は、以下の外務省HPで確認できます。
オンラインでパスポートの申請を行う際の本人確認には、マイナンバーカードの署名用電子証明書暗証番号を使います。これは、マイナンバーカードのICチップに格納されている電子証明書で、インターネット等で行政手続を行う際に幅広く利用されているものです。
これまで準備が必要だったパスポート用の写真は、マイナポータルで申し込む際にスマホのカメラで撮影するか、写真の画像データをアップロードする形で対応できるようになるようです。写真を取りに行かなくていいのもありがたいです。
(関係法令の規定)
このオンライン申請の関係法令としては、2022年に旅券法の施行規則が全部改正されていました。オンライン申請の方法は、この旅券法施行規則の第1条に規定されていました。
◯旅券法施行規則(令和四年外務省令第十号)
(申請等の方法)
第一条 旅券法(以下「法」という。)に基づく申請、請求又は届出(以下「申請等」という。)は、次に掲げる方法により行うことができる。
一 書面手続 申請等を書面等(情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第三条第五号に規定する書面等をいう。)により行う方法
二 電子手続 情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律第六条第一項の規定により、申請等を外務大臣の使用に係る電子計算機と申請等をする者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用して行う方法
(デジタル手続法との関係)
上記の旅券法施行規則にあるように、このオンライン申請は、デジタル手続法(情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律)第6条の規定に基づいて、主務省令である旅券法施行規則に定めることで可能となっています。
一方で、旅券の交付手続については、旅券法第8条第1項がデジタル手続法の適用除外となっています。デジタル手続法の第10条第1号では、対面での本人確認などが必要な場合などに、デジタル手続法によるオンライン化の規定の適用除外とすることが定められていますが、パスポートの交付には厳格な本人確認が必要でしょうし、パスポートの現物を渡す必要もありますので、一度窓口に行くのは仕方ないかなと思います。
(適用除外)
第十条 次に掲げる手続等については、この節の規定は、適用しない。
一 手続等のうち、申請等に係る事項に虚偽がないかどうかを対面により確認する必要があること、許可証その他の処分通知等に係る書面等を事業所に備え付ける必要があることその他の事由により当該手続等を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信技術を利用する方法により行うことが適当でないものとして政令(内閣の所轄の下に置かれる機関及び会計検査院にあっては、当該機関の命令)で定めるもの
デジタル原理主義からすると、パスポート自体デジタル化できるという考え方もあると思うのですが、デジタル化が進んでいないような国も含め、世界中で使うものですので、紙のパスポートはなくせないでしょうね。
なお、今のパスポートには、ICチップが組み込まれていて、パスポート記載事項の一部を電子データ(電磁的記録)で記録していますので、いわば紙とデジタルのハイブリッドになっていて、とてもよい形ではないかと個人的には思います。
関係の規定は以下のとおりです。
◯旅券法(昭和二十六年法律第二百六十七号)
(旅券の記載事項)
第六条 旅券には、次に掲げる事項を記載するものとする。
一 旅券の種類、番号、発行年月日及び有効期間満了の日
二 旅券の名義人の氏名及び生年月日
三 渡航先
四 前三号に掲げるもののほか、外務省令で定める事項
(旅券の電磁的方法による記録)
第七条 外務大臣又は領事官は、旅券の名義人の写真及び前条第一項に掲げる事項の一部であつて外務省令で定めるものを、旅券に電磁的方法により記録することができる。
(参考)