(第213回国会の状況)
5月の第3週(15日まで)の、内閣提出法案の成立状況ですが、内閣法制局のHPを見ると、成立は29本となっていて、先週の時点から9本が新たに成立したことになります。
数が多くなってきたので、閣法番号とともに整理すると、新たに成立したものは、以下の9本になります。
10 雇用保険法等の一部を改正する法律案
12 広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案
14 防衛省設置法等の一部を改正する法律案
24 重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案
25 経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案
34 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案
44 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律案
45 公益信託に関する法律案
56 金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律の一部を改正する法律案
概要資料を見た限りですが、デジタル化に関係のありそうなものは、下線を引いた2本でした。
(経済安全保障推進法)
1つ目の下線の、経済安全保障推進法(経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律)は、国際情勢の複雑化、社会経済構造の変化等により、安全保障の裾野が経済分野に急速に拡大する中で、国家・国民の安全を経済面から確保するための取組を強化・推進するために、令和4年(2022年)に定められた法律です。
あまりデジタルと関係なさそうですが、経済安全保障法の中には、基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度(第3章)が含まれていて、これは、サーバー攻撃への対応なども想定されたものになっています。
今回の法改正の具体的な内容は、法律で定められている「基幹インフラ制度」の14の分野(電気、ガスなど)に、「港湾運送」の分野を追加するものですが、令和5年7⽉の名古屋港のサイバー攻撃事案の発⽣を受けたものとなっています。
具体の条文などは、今後、改めて見てみます。
(プロバイダ責任制限法)
2つ目の下線の、プロバイダ責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律)は、インターネット上の書き込みなどによる権利侵害があった場合に、プロバイダ(特定電気通信役務提供者)の損害賠償責任の制限や発信者情報の開示を請求する権利などを定める法律です。
プロバイダ責任制限法については、より円滑に被害者救済を図るための改正が、令和3年(2021年)に行われていますが、今回の改正は、大規模プラットフォーム事業者に対し、⑴対応の迅速化、⑵運用状況の透明化の具体的措置を求める制度整備を行う内容となっていて、法律の名称も変更されます。
こちらも、具体の条文などは、今後改めて見てこうと思います。
今回は、とりあえずの状況確認ということで、ここまでにします。
(参考)