デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

第213回国会のデジタル関係法(11)5月第4週までの状況(放送法、車庫法)

(第213回国会の状況)

 5月の第4週(22日まで)の、内閣提出法案の成立状況ですが、内閣法制局のHPを見ると、成立は38本となっていて、先週の時点から9本が新たに成立したことになります。

 数が多くなってきたので、閣法番号・主管省庁とともに整理すると、新たに成立したものは、以下の9本になります。

16    脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律 経済産業省
17    二酸化炭素の貯留事業に関する法律 経済産業省
18    都市緑地法等の一部を改正する法律 国土交通省
32    放送法の一部を改正する法律 総務省
37    風力発電設備の設置等による電波の伝搬障害を回避し電波を用いた自衛隊等の円滑かつ安全な活動を確保するための措置に関する法律 防衛省
38    道路交通法の一部を改正する法律 警察庁
39    自動車の保管場所の確保等に関する法律の一部を改正する法律 警察庁
47    民法等の一部を改正する法律 法務省
60    資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律 環境省

 概要資料を見た限りですが、デジタル化に関係のありそうなものは、下線を引いた2本でした。

 

放送法

 下線を引いた1つ目の、放送法の改正については、以下のような提出理由となっています。(下線は当方で付記。)

日本放送協会の放送番組が社会生活に必要不可欠な情報として公衆にあまねく提供されるべきものであることに鑑み、同協会の放送番組を放送の受信設備を有しない者に対してもその環境に適した形態で継続的かつ安定的に提供するため、同協会が電気通信回線を通じて放送番組等を一般の利用に供する業務を同協会の必須業務とするとともに、当該業務により電気通信回線を通じて提供される同協会の放送番組等の受信を開始した者に対して同協会との受信契約を締結する義務を課す等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 

 NHK日本放送協会)の番組のインターネット配信が、法律上NHKの必須業務とされる、ということ(と、インターネット配信の受信を開始したら、NHKの受信契約締結の義務に関する改正もあるようですが・・)で、デジタルに関係するといって良いかなと思います。

 改正条文は次の機会に見てみます・・。

 

(車庫法)

 2つ目の下線の、車庫法(自動車の保管場所の確保等に関する法律の一部を改正する法律)の提出理由については、以下の通りとなっています。

国民の利便性の向上及び行政運営の効率化を図るため、自動車の保管場所の位置等を表示する保管場所標章に関する規定を削除する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 

 「国民の利便性の向上及び行政運営の効率化」というのは、デジタル技術を活用を推進する場合の理由として、よく用いられるものです。

 今回の車庫法の改正は、具体的には、保管場所標章(車庫証明のシール)を廃止するというものなのですが、その理由として、保管場所情報に係るデータベースの整備等により、保管場所制度の目的は、保管場所標章によらずに達成されている、ということが掲げられていますので、デジタル化に関する法改正(規制緩和)ということが言えると思います。なお、車庫証明のシールがなくなるだけで、車庫証明の制度自体がなくなるわけではないです。(以前、引っ越しをした際に、警察署に行って車庫証明の手続きをしたことがありますが、こういう警察側の窓口業務の負担も緩和されるのでしょうね。良いことと思います。)

 こちらの車庫法の改正は、条文が削除されているだけなので、このくらいでいいかなと思います。

 

 ちなみに、「国民の利便性の向上及び行政運営の効率化」という文言は、昨年、デジタル手続法(情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律)が改正された際に、追加された条文(デジタル規制改革の推進に関する条文)でも使われています。

第四章 情報通信技術の効果的な活用の推進に関する施策
 (情報通信技術の進展への対応)
第十六条 国は、情報通信技術の進展の状況を踏まえ、手続等並びにこれに関連する行政機関等の事務及び民間事業者の業務の処理において、国民の利便性の向上及び行政運営の改善を図る観点から情報通信技術を効果的に活用することができるようにするため、必要な施策を講じなければならない。
2 地方公共団体は、国が前項の規定に基づき講ずる施策に準じて、条例又は規則に基づく手続並びにこれに関連する行政機関等の事務及び民間事業者の業務の処理において、国民の利便性の向上及び行政運営の改善を図る観点から情報通信技術を効果的に活用することができるようにするため、必要な施策を講ずるよう努めなければならない。

 

 今回は、とりあえずここまでにします。

 

(参考)

www.npa.go.jp

ura49.hateblo.jp