(第213回国会の状況)
6月の第1週(6月6日まで)の、内閣提出法案の成立状況ですが、内閣法制局のHPを見ると、成立は44本となっていて、先週の時点から3本が新たに成立したことになります。ちょうど先週と同じペースですね。。
新たに成立したものは、以下の3本になります。
22 子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律 こども家庭庁
23 新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律 経済産業省
40 情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律 デジタル庁
世の中的には、子ども・子育て支援法の改正が、最もニュースになっていたのではないかと思いますが、デジタル関係としては、公的基礎情報データベース(ベース・レジストリ)についての新たな規定を整備するデジタル社会形跡本法・デジタル手続法等の改正や、マイナンバーカードの機能をスマホ搭載するための規定を整備するマイナンバー法の改正(デジタル社会形成基本法「等」の一部を改正する法律には、これらの改正が含まれています。)が最も大きなものと思います。
(ちなみに、このデジタル社会形成基本法等の改正は5月31日に成立していたのですが、金曜の成立だったため、今週の更新で内閣法制局のHPに反映されました。)
(デジタル社会形成基本法等の改正)
デジタル社会形成基本法等の改正については、以下のような提出理由となっています。
情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るため、データの品質の確保に関する規定の整備、法人に係る事項の変更が登記された場合に他の法令の規定により義務付けられている当該変更に係る届出を省略する仕組みの創設、公的基礎情報データベースの整備等の推進に関する規定の整備、移動端末設備を用いて個人番号カードを代替するための仕組みの創設等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
下線は当方で付したものですが、ベース・レジストリ(公的基礎情報データベース)の整備推進や、マイナンバーカード(個人番号カード)の機能をスマホ(移動端末設備)に搭載するため、ということが見て取れると思います。
(ベース・レジストリ)
ところで、法律上「公的基礎情報データベース」とされている、ベース・レジストリとは、何のことでしょうか。。
デジタル庁のHPを見ると、「ベース・レジストリとは、住所・所在地、法人の名称など、制度横断的に多数の手続で参照されるデータからなるデータベースのこと」と定義されています。
ベース・レジストリの整備に向けた検討は以前から進められていて、これまでの資料では、「公的機関等で登録・公開され、様々な場面で参照される、人、法人、土地、建物、資格等の社会の基本データ・・・」といった説明がされていたことがあります。この説明ぶりですと、例えば、不動産登記などがイメージしやすかったのですが、今のデジタル庁HPの定義では「公的機関等での登録・公開」という要件がないので、より幅の広い概念になっていますね。(デジタル庁のHPでは、法令や郵便番号なども、ベース・レジストリとして掲げられています。)
定義などは、またおいおい見てみるとして、今回の法改正によって、これからは、例えばある法人が移転して登記事項を変更した際に、何度もいろんな法律に基づいて届け出をしなくても、データベース化された登記情報を行政機関間で公的データとして確認(データ連携)できれば、法人の届け出を省略できる、、、という雑な理解をしていますが、詳しくは概要資料をご参照ください。。なお、概要資料には、以下のように記載がありますので、大きくずれてはいないと思います。。
・他の法令の規定により変更届出を行わなければならない法人に係る登記事項(名称、所在地等)について、行政機関等がデータ連携により入手した場合は、当該変更届出が行われたものとみなし、変更届出を不要とする。【第12条~第14条】
いずれにしても、今後、国によって、このような公的データの品質の確保(正確かつ最新に保つこと)が図られることや、計画的にデータの整備が進められることは、大変意義深いと思いますし、データベースが整備されることで、データ連携による手続きの負担軽減が図られることも、デジタル化による非常に大きな制度改善と思います。
今回は、とりあえずここまでにして、、マイナンバーのスマホ搭載など、各法律での具体的な条文の規定ぶりなどは、また改めてみてみます。。気がつけば、国会もあと少しで閉会という時期になってきました。。
(参考)