デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

第213回国会のデジタル関係法(15)6月第2週までの状況(補足)

(第213回国会の状況)

 6月の第2週(6月12日まで)の、内閣提出法案の成立状況については、前回の記事で見てきたところですが、前回に書ききれなかった補足的なこと(ほぼ雑談なので、蛇足的なことかもしれませんが・・・)をいくつか記しておきたいと思います。

 ちなみに、新たに成立した以下の8本のうち、下線の2つの法律に関することです。(番号は、閣法番号です。)

30 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律 警察庁
55 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律 内閣府

 

(銃刀法の改正(電磁石銃?))

 まず、銃刀法の改正ですが、「電磁石銃」を銃砲に追加するという内容で、「電磁石銃」という聞き慣れない用語が出てきました。。「電磁的記録」とかとちょっと似ているので、一瞬気になったのですが、、以下に引用している、改正後の第2条の定義にあるように、電磁石の磁力で弾丸を発射する銃のことなのですね。。第2号の空気銃は知っていましたが、そのようなものがあるのですね。。しりませんでした。

 (定義)
第二条 この法律において「銃砲」とは、次に掲げる物をいう。
 一 装薬銃砲(拳銃、小銃、機関銃、猟銃その他火薬を使用して金属性弾丸を発射する機能を有する銃又は砲のうち、内閣府令で定めるところにより測定した金属性弾丸の運動エネルギーの値が、人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府令で定める値以上となるものをいう。第三条の四及び第三十一条の三第二項第一号において同じ。)
 二 空気銃(圧縮した気体を使用して金属性弾丸を発射する機能を有する銃のうち、内閣府令で定めるところにより測定した金属性弾丸の運動エネルギーの値が、人の生命に危険を及ぼし得るものとし内閣府令で定める値以上となるものをいう。以下同じ。)
 三 電磁石銃(電磁石の磁力により金属性弾丸を発射する機能を有する銃のうち、内閣府令で定めるところにより測定した金属性弾丸の運動エネルギーの値が、人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府令で定める値以上となるものをいう。第三十一条の三第二項第二号において同じ。) 


 すみません、ただ「電磁的・・」と似ているなあという、雑談的なことでした。。

 なお、今回の銃刀法改正では、以下のように、インターネット等での悪質情報の対策についても、法律案の要綱には記載されています。

 【インターネット等での悪質情報の対策】
  拳銃等の所持罪に当たる行為等を、
  公然、あおり・唆したことに対する
  罰則を整備

https://www.npa.go.jp/laws/kokkai/05__sankousiryou.pdf

 この要綱を見るとデジタル関係の規定が設けられたと言えそうなのですが・・、条文を見てみると、「第三十一条の三の罪に当たる行為を、公然、あおり、又は唆したとき。」とされていて、「インターネット等で」ということが特段例示されたりはしていませんでしたので、前回はご紹介を省略したところでした。。

 

(獣医師法の改正(オンライン届出))

 「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」に関しては、前回、母子保健法の改正についてご紹介しましたが、このほかに、医師法についても、オンライン届出に関する改正が行われています。

 概要資料を見ると、改正内容は、「オンラインによる届出の場合、都道府県経由を
不要とし、獣医師が直接、国に届け出ることとする」
とされています。

第14次地方分権一括法案概要資料(抜粋)

https://www.cao.go.jp/houan/pdf/213/213gaiyou_5.pdf

 こちらも、オンライン届出というデジタル関係の改正ではあるのですが、法改正自体は、都道府県経由を不要とするという規制緩和に関するものでしたので、前回はご紹介を省略していました。

 ただ、その後、改めて、改正後の条文を見てみたところ、「オンラインによる届出の場合は、都道府県経由を不要とする」ということを示すために追加された「ただし書」(下記赤文字の部分)の規定ぶりが、とてもデジタル関係法的な味わい深いものとなっていましたので、補足させていただければと思います。

 (届出義務)
第二十二条 獣医師は、農林水産省令で定める二年ごとの年の十二月三十一日現在における氏名、住所その他農林水産省令で定める事項を、当該年の翌年一月三十一日までに、その住所地を管轄する都道府県知事を経由して、農林水産大臣に届け出なければならない。ただし、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第六条第一項の規定により当該届出を同項に規定する電子情報処理組織を使用して行うときは、都道府県知事を経由することを要しない。

 

 念のためですが、「オンラインによる届出の場合」ということが「当該届出を・・・電子情報処理組織を使用して行うとき」と表現されています。(電子情報処理組織というのは、行政機関の電子計算機(PC等)と申請者等の電子計算機(PC、スマホ等)とを電気通信回線(インターネット等)で接続したもの(申請用のシステムなど)のことです。)

 様々な法律で定められている手続について、オンラインでの申請等を可能とする法律がデジタル手続法(情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律)なのですが、「ただし書」の前半部分では、デジタル手続法(第6条)の規定に基づいてオンラインによる届出を行う場合が対象になる、ということが、示されています。

 以上、とりあえず、前回の補足まででした。

 

(参考)

ura49.hateblo.jp

デジタル手続法などは、こちらに詳しく記載があります。

homutosho.com