デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

デジタル法令用語(ID・パスワード→識別符号・暗証符号)

(オンライン申請におけるID・パスワードでの認証)

 近年、デジタル化の進展に伴い、様々な手続きがオンラインで行えるようになっています。手続きのオンライン化の際には、従来求めていた押印を廃止し、電子署名などの代替手段を定めているものがあります。ただ、電子署名の取得や管理には専門的な知識やツールが必要ですし、電子署名の導入や維持にはコストもかかりますので、すべてのオンライン手続が電子署名を求めているわけではありません。

 特に、もともとの書面での手続きが、認印の押印を認めていたような場合には認印は個人の認証としての効果は乏しいため、IDとパスワードによる認証で代替されている場合もあります。

 以上は、前置きなのですが、そのような場合に、IDやパスワードがどのように法令で表現されているのか、調べてみました。

 

内閣府「押印見直しマニュアル」での見解)

 その前に、本当に認印を求めていた手続きをIDやパスワードによる認証で代替していいのか、国からの通知などがないかを探してみたところ、内閣府が作成している「地方公共団体における押印見直しマニュアルに(P8)、以下のような記載がありました。

※3 押印が求められている趣旨を代替する手段としては、以下のような方法が考えら
れます。
・継続的な関係がある者の e メールアドレスや既登録 e メールアドレスからの提出
・本人であることが確認された e メールアドレスからの提出(本人であることの確認
には別途本人確認書類のコピー等のメール送信を求めることなどが考えられる)
ID/パスワード方式による認証

 また、P7で認印について、「特に、認印は個人の認証としての効果は乏しいため、押印が求められている趣旨に対する効力が限定的であることに留意する必要があります。」という記載もあり、ID/パスワード方式での代替に問題はなさそうです。

 

(実際の用例:識別符号、暗証符号)

 さて、残念ながら内閣府のマニュアルでは、モデル規定などは記載されていないため、実際の法令での規定ぶりを当たって見てみたところ、法令用語としては、「ID」は「識別符号」(or「識別番号」)、「パスワード」は「暗証符号」(or「暗証番号」)として表現されていました。日常的な用語と対比すると以下のような感じになりますかね。。

 識別符号:ID(ユーザーを特定するための識別情報)
 暗証符号:パスワード(ユーザーが正当なアクセス権を持っていることを証明するための文字列)

 

 ちなみに、実際の用例は以下のようなものがありました。

◯特定物質等の規制等によるオゾン層の保護に関する法律施行規則

 (申請書等の提出において名称を明らかにする措置)
第二十二条 申請書等の提出においてすべきこととされている署名等(情報通信技術活用法第三条第六号に規定する署名等をいう。)に代わるものであって、情報通信技術活用法第六条第四項に規定する主務省令で定めるものは、第二十条第二項の規定により付与された識別符号及び暗証符号を電子情報処理組織を使用して申請書等を提出しようとする者の使用に係る電子計算機から入力することをいう。

 

 赤文字の部分は、ID・パスワードをオンラインシステムで申請する者のPCから入力するということですね。ちなみに、電子情報処理組織は、オンラインでの手続きの際によく出てくる用語です。

(だいぶ以前に記事にしていたことを思い出しました。時間の経つのは早いですね。。)

 

(参考)

ura49.hateblo.jp