デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

医療データの二次利用に関する法改正の報道について

(医療データの二次利用に関する記事)

 先週、医療データの二次利用について、以下の記事が出ているのをネットで見つけました。

medical.nikkeibp.co.jp

 記事の内容を見ると、「医療や介護に関する情報について、「匿名化情報」だけでなく、検査値や疾患名を削除・改変しない「仮名化情報」の利用・提供を可能にすることを了承した。・・・・厚労省は関連法の改正案をまとめ、2025年の通常国会に提出することを目指している。」とあります。

 医療データをビッグデータとして利活用するために匿名加工をすると、個人が特定されるような特異値などは削除する必要があります。ですが、このようなデータも含めて研究などでは重要な情報であるため、そうした情報も含めることができる「仮名加工情報」(氏名などを削除して、それ単体では個人が特定できないように加工した情報)というものが個人情報保護法でも規定されています。

(匿名加工情報は、個人情報が復元されないよう加工しなければならないため、個人が特定されるような特異値などは加工の過程で削除しなければなりません。一方で、仮名加工情報は、他の情報と照合しない限り個人が特定できない形に加工すればよいので、特異値のデータなども氏名を削除するなどして残すことができます。)

 

(仮名加工医療情報に関する次世代医療基盤法改正(R5))

 そして、特に医療の分野では、仮名加工情報の利活用のニーズを踏まえ、昨年の通常国会で、次世代医療基盤法が改正されて、「医療加工情報」に関する制度が新たに設けられています。

ura49.hateblo.jp

 ですので、今回の記事を見た際に、デジャヴのような感じがしたのですが、、今度は何を改正するのでしょうか。。

 

(R7通常国会での改正内容は?)

 R7通常国会での提出が目指されているという法改正の内容が気になったため、今回の記事の元になっている、医療保険部会の資料を確認してみたところ、以下のような記載がありました。

本年4月に施行された改正次世代医療基盤法において、一定の条件下で仮名加工医療情報の利用・提供の仕組みが創設された。また、同法では、認定事業者DBのデータと公的DBのデータとの連結解析を可能とする措置が設けられたが、匿名化情報同士の連結解析しか行うことができず、仮名化情報同士の連結解析はできない。

実際の資料はこちらです。

第185回社会保障審議会医療保険部会 資料2抜粋

 昨年(R5)の次世代医療基盤法の改正では、民間部門で仮名加工医療情報の利活用を可能とする仕組みが整備されたわけですが、さらに、公的DBでも仮名加工情報の利活用を可能としたり、民間部門のDBの仮名加工医療情報との連結解析ができるようにするために、R7通常国会での改正を検討している、ということのようですね。

 ということでデジャヴではありませんでした。(当たり前ですが。。)

 来年の通常国会での改正を待ちたいと思います。。

 

(参考)

www.mhlw.go.jp