デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

学校とデジタル化:個人情報の利用目的の明示(個人情報(11))

(利用目的明示の必要性)

 前回、個人情報を外部に提供する際に、利用目的の範囲内であれば、本人同意は不要、ということを書きました。そのことに関して、(順序が逆かもしれませんが)今回は、学校が個人情報を取得する際の利用目的の明示について、根拠規定や具体例などを見てみたいと思います。

 まず、基本的な考え方についてですが、文科省で作成している「教育データの利活用に係る留意事項」を見てみると、「個人情報を取り扱う際の基本理念」の中で、以下のように説明されています。

個人情報の適正な取扱いに当たっては、公立学校の教育データについて、学校の組織編制、教育課程、学習指導、生徒指導及び職業指導といった法令(条例を含みます。以下同じ。)に定める所掌事務や業務を遂行するために必要な場合に限って保有したうえで、個人情報保護法における利用目的の特定及び明示、変更等の整理を行う必要があります。

 

 そして、この根拠になっている個人情報保護法の条文は以下の通りです。

 (利用目的の明示)
第六十二条 行政機関等は、本人から直接書面(電磁的記録を含む。)に記録された当該本人の個人情報を取得するときは、次に掲げる場合を除き、あらかじめ、本人に対し、その利用目的を明示しなければならない
 一 人の生命、身体又は財産の保護のために緊急に必要があるとき。
 二 利用目的を本人に明示することにより、本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがあるとき。
 三 利用目的を本人に明示することにより、国の機関、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
 四 取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められるとき。

 

(利用目的の明示の方法)

 次に、明示の方法についてですが、同じく「教育データの利活用に係る留意事項」のP14に、以下のように記載されています。

利用目的の明示の方法は、児童生徒本人にお便りやメール等であらかじめ示しておく方法のほか、教室における掲示や集会での説明等の口頭による方法も考えられますが、いずれにせよ、本人が利用目的を認識することができるよう、適切な方法により行うことが必要です。ホームページ等の端末の画面においてあらかじめ必要な情報を掲載しておく場合も考えられますが、この場合には、本人が送信ボタン等をクリックする前等にその利用目的が本人の目に留まるようその配置に留意することが望ましいとされています。

もっとも、学校教育においては、保護者が、児童生徒を本人とする個人情報を含む教育データの利用目的を把握しておきたいと考えていることもあります。そのため、学校の実態や利用する個人情報の種類に応じて、保護者に対しても利用目的を明示することは、より丁寧な対応となります。

 

 法的には、本人である児童生徒への明示が必要となるわけですが、保護者にも明示しておくことが望ましい、という説明になっていますね。

 なお、現在、個人情報保護委員会で検討が進められている「いわゆる3年ごと見直し」においては、こどもが本人となる個人情報についての法定代理人(保護者)の関与の在り方についても検討されています。(今後、この関係の法改正があるかもしれません。)

「「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理」概要」より抜粋

 

(具体例)

 最後に、実際にどのような形で「利用目的の明示」がされているのか探してみたところ、以下のような例が見つかりました。

https://www.city.sakura.lg.jp/material/files/group/106/datekatuyou.pdf

児童生徒の個人情報の取得に伴う利用目的の明示等について/益田市

学習eポータル(まなびポケット)における個人情報の取り扱いについて/総合教育センター

 それぞれ違いはありますが、概ね以下の内容について、児童生徒と保護者向けに示しているようです。

・利用目的
・サービス概要
・取り扱う個人情報
・データの収集方法
・第三者提供の有無
・保存期間

 全く余計なことですが、、佐倉市の通知に記載されている「個人情報の保護に関する法律第 21 条第 1 項において、個人情報を取得した場合は、その利用目的を本人に通知するよう定められております。」は、第62条のほうを引用した方がよくはないでしょうか。。(それぞれのアプリ事業者が主体という考え方なのでしょうかね。。)

 

(ポイント)  

・学校が個人情報を取得する際には、利用目的の明示が必要。

・利用目的を明示する対象は児童生徒だが、保護者にも明示することが望ましい。

・こどもを本人とする個人情報に関する法定代理人(保護者)の関与の在り方については、現在「いわゆる3年毎見直し」の中で検討が進められている。

 

(参考)

www.mext.go.jp