デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

「データ利活用制度・システム検討会」の発足(12月26日)

(データ利用促進に向けた検討会の発足)

 12月26日に、医療や金融など幅広い分野での個人情報の利用拡大を議論する「データ利活用制度・システム検討会」が、デジタル行財政改革会議の下に設けられ、初会合が開催されました。座長は、森田朗先生(東大名誉教授、NFI代表理事)が務められています。

 11月12日に開催されたデジタル行財政改革会議で、石破総理から、「平大臣を中心に、データ利活用制度に関する包括的な検討を行う検討会を年内に立ち上げ、関係省庁等と連携し、来年夏をめどとして、基本的な方針を策定してください。」との発言がされていますが、これを受けて、新たに会議体が立ち上げられたということですね。

www.kantei.go.jp

 

 あまり大きく取り扱われてはいないようですが、以下のような記事も出ていました。

sp.m.jiji.com

 

(第1回会議の資料)

 第1回会議では、事務局資料のほか、各構成員からの資料が配布されています。

 事務局資料では、前回のデジタル行財政改革会議の資料と同様に、データ利活用に関する法整備について、日本とEUの状況を比較した資料がありました。「データ利活用の法的強化」というところが、一番の課題意識なのだろうと思います。

第8回デジタル行財政改革会議資料3より抜粋

 

(データ利活用に関する法制度)

 データの利活用に関する法律といえば、官民データ活用推進基本法がまず思い浮かびますが、個人情報保護法著作権法でも、データ利活用に向けた制度が設けられています。また、上記の資料にもあるように、次世代医療基盤法や銀行法など、個別分野を対象とする個別法でも対応が図られています。こうした現状では足りない部分について、これからこの「データ利活用制度・システム検討化」での議論が進むものと思います。

 現在の法制度について、主な法律の大ざっぱな概要を備忘まで記載しておきます。。

官民データ活用推進基本法

 官民データの適正かつ効果的な活用の推進に関して基本理念を定め、国等の責務を明らかにし、民データ活用推進基本計画の策定などについて定めている基本法です。

 政府や自治体の保有するデータを公開する(いわゆる「オープンデータ」)取組の根拠となっていると思います。

個人情報保護法

 主に個人情報を取り扱う民間事業者の守るべきルール等を定める法律ですが、個人情報保護法には、データの利活用に関する規定も含まれていて、個人情報に一定の加工を加えることにより、ビッグデータとしての利用を可能にする「匿名加工情報」「仮名加工情報」などの制度が置かれています。

著作権法

 著作権法は、著作物に関する権利の保護と公正な利用について定める法律ですが、2009年改正(インターネット情報検索のための複製等、電子計算機におけるキャッシュのための複製などの条文追加)、2019年改正(著作物の非享受利用(AIによる情報解析など)、著作物の軽微利用(所在検索サービスでの利用など)の条文追加)では、デジタル化の進展を踏まえたデータの利活用に資する改正が行われています。

 

(参考)

www.cas.go.jp