(マイナンバー法の改正法案の提出理由)
第217回通常国会(1月24日〜6月22日)で成立したデジタル関係の法律を見ていくという流れの続きですが、今回は、マイナンバー法の改正(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律及び住民基本台帳法の一部を改正する法律)について見てみます。これまで見落としていましたが、住民基本台帳法の改正もセットで行われているようですので、そちらも含め見ていければと思います。
まず、法案の提出理由は、以下のとおりです。
国民の利便性の向上及び行政運営の効率化を図るため、個人番号を利用することができる事務として酒類の製造免許に関する事務、司法書士等の国家資格に関する事務等を追加するとともに、これに伴う地方公共団体情報システム機構から本人確認情報の提供等を行うことができる事務に関する規定の整備を行う必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
端的に言うと、マイナンバーの利用が可能な事務を拡大するための法改正と考えておけば良さそうです。背景としては、昨年の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に基づいて、マイナンバー制度の利活用に関する調査が実施されていて、その結果を受けて、マイナンバーの利用範囲拡大を図ることとされたという経緯があります。
(国家資格等の事務での利用拡大)
前提としての確認ですが、マイナンバーの利用が可能な事務については、マイナンバー法の第9条に基づいて、同法の別表で列挙されています。
(利用範囲)
第九条 別表の各項の上欄に掲げる行政機関、地方公共団体、独立行政法人等その他の行政事務を処理する者(・・・略・・・)は、同表の当該各項の下欄に掲げる事務(準法定事務を含む。同号において同じ。)の処理に関して保有する特定個人情報ファイルにおいて個人情報を効率的に検索し、及び管理するために必要な限度で個人番号を利用することができる。当該事務の全部又は一部の委託を受けた者も、同様とする。
そして別表は以下のようになっています。

今回の改正は、このマイナンバー表の別表に、国家資格等に関する事務(司法書士、公認会計士、獣医師、電気工事士等 44資格)や、その他の行政事務(旅券の発給、在留カードの交付等12事務)を追加するものです。
追加される事務の一覧は以下の通りとなっています。

今回の法改正は、別表の改正ですので、条文の確認などは省略します。
(住民基本台帳法の改正内容)
今回、マイナンバー法と合わせて改正されている、住民基本台帳法の改正についてですが、デジタル庁の概要資料を見たところ、上記の事務に関して、本人のマイナンバー等を確認できるよう、住民基本台帳法を改正し、地方公共団体情報システム機構(住民基本台帳ネットワークシステム)から本人確認情報(氏名、生年月日、性別、住所、マイナンバー等)の提供を受けること等を可能とするために、住民基本台帳法別表第1から別表第5までが改正されるということのようです。
地方公共団体情報システム機構(J-LIS)から、住基ネットを通じて、国の行政機関等が情報提供を受けることができる場合などが、住民基本台帳法の別表に掲載されているため、こちらの改正も合わせて行う必要がある、ということのようです。
例えば、第39条で定める「本人情報の提供」については、別表第一に国の機関名(上欄)と具体の事務(下欄)を記載することとなっています。
(国の機関等への本人確認情報の提供)
第三十条の九 機構は、別表第一の上欄に掲げる国の機関又は法人から同表の下欄に掲げる事務の処理に関し求めがあつたときは、政令で定めるところにより、機構保存本人確認情報のうち住民票コード以外のものを提供するものとする。ただし、個人番号については、当該同表の上欄に掲げる国の機関又は法人が番号利用法第九条第一項の規定により個人番号を利用することができる場合に限り、提供するものとする。
住民基本台帳法の今回の改正も、別表の改正ですので、条文確認は省略します。
デジタル庁の概要資料によると、国家資格に関しては、医師、理容師・美容師など、すでに82資格でマイナンバーの利用が可能で、行政事務に関しても、税、社会保障の手続など115事務でマイナンバーの利用が可能となっているとのことです。今回の改正で、さらに手続き等のデジタル化が進むことを期待したいと思います。
(参考)