デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

第217回国会のデジタル関係法(7)情報処理促進法の改正

(情報処理促進法の改正法案の提出理由)

 第217回通常国会(1月24日〜6月22日)で成立したデジタル関係の法律をみていく流れの続きですが、今回は、情報処理促進法の改正情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律)について見てみます。情報処理促進法は、毎年のように改正されていますね。。

 まず、法案の提出理由は、以下のとおりです。

人工知能関連技術等による情報処理の高度化を推進するための環境の整備を図るため、指定高速情報処理用半導体の生産を安定的に行うために必要な取組及び高度な情報処理の性能を有する設備の導入に対する支援措置を講ずるとともに、これらの支援措置を含む先端的な半導体の安定的な生産の確保等の施策に係る措置に必要な財源を確保するための措置等を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 経産省のHPの記載とも併せ読むと、「指定高速情報処理用半導体の生産を安定的に行うために必要な取組について、その実施に必要な資金の出資や施設・設備の現物出資、必要な資金の借入れに関する債務の保証等の支援措置を講じます。」ということのようです。そのために、IPAの業務が追加されています。

 

(デジタル人材の育成に関する業務)

 上で記載した通り、今回の法改正の目的は半導体の生産を安定的に行う、ということで、産業振興的な目的と思いますが、デジタル関係法という観点からは、今回、IPAの業務に「デジタル人材の育成に関する業務が追加されていることが、注目すべき内容かなと思っています(個人的な感想ですが)。

 追加された条文は以下のとおりです。第7号が新設されています。

 (業務の範囲等)
第四十七条機構は、第三十六条の目的を達成するため、次の業務を行う。
 七 情報処理に関する業務を行うために必要な専門の知識及び技能を有する者を養成し、及びその資質の向上を図ること。

 

 IPAでは、これまでも、デジタルスキル標準を策定したり、ITパスポートなどの情報処理技術者試験を実施たり、人材育成に関する業務を行ってきていますが、これは情報処理技術者試験に関する条文(経産大臣が試験の実施事務をIPAに行わせることができるという)やIPAの附帯業務として行っていたようです。

 今回の改正で、デジタル人材の育成がIPAの業務として明記されましたので、今後、更に取組みが充実されるものと思われます。

 

(国会での質疑)

 デジタル人材の育成に関するIPAの業務追加に関しては、国会での質疑・答弁を見ると趣旨がよくわかりますので、最後に参考まで載せておきます。衆議院の経産委員会の議事録の抜粋です。

第217回国会 経済産業委員会 第6号(令和7年4月2日(水曜日))

◯山口(良)委員 ・・・(略)・・・。
 次に、デジタル人材の育成という観点から御質問をさせていただきたいと思います。
 本法案では、IPAの業務として、デジタル人材の育成やその資質の向上に係る業務が追加をされました。政府の目指すAI、半導体産業の基盤強化、さらにはデジタル社会の形成に向けて、ハード面のみならず、ソフト面の支援は車の両輪であります。
 そこで、今回の法案を通し、目指されているデジタル人材とは具体的にどのような人材であり、具体的にどのように育成をされていくのか、お伺いいたします。

◯奥家政府参考人 ・・・(略)・・・。
 まず、今般の法改正、こちらでIPAの方に業務追加を行います。
 IPA、実は、現行法においても、現行法の規定の範囲内で、デジタル人材の関係については、情報処理技術者試験、これを実施、運営、さらに人材育成に関する指針の策定、こういったことを取り組んでまいりました。
 今回の法改正によって、デジタル人材育成業務を更に拡大させるということで、今までは附帯業務とかいわゆる試験の業務でこれまで取組をしていたのを、人材育成ということを直接書き込んでいますので、したがいまして、IPAがまさに独自の人材育成コンテンツを作成して提供する、このようなこともやっていきたいというふうに考えています。

 具体的に申し上げますと、民間では取組が必ずしも十分ではない分野、例えば、AIの活用に必要なデータを管理する人材、こういった人材を育成するための標準的な教育手法、いわゆるモデルカリキュラム、こういったものを作る、若しくはDX推進に必要なビジネスアナリストを育成するためのコンテンツを作る、このような事業を検討しています
 また、半導体、こちらは今回の法律に直接関係するわけではないんですけれども、半導体分野においても人材育成、これは非常に重要で、特に高度設計人材をどうやって育成していくのかということでございます。これにつきましてはプログラムを実施しておりまして、具体的には、我が国の企業やアカデミアから人材を募集しまして、アメリカの半導体設計企業に派遣して研修を受けさせるというような、いわゆる即戦力人材を養成するような、こういった取組もしています。

 さらに、AIも非常に重要で、AIにつきましては、開発側、あと利活用側、両方とも人材育成が非常に重要です。
 AIの開発の人材につきましては、まさに開発機会が、実は計算資源が足りなくて開発する機会、経験を積めなかった、これを開発するための計算資源を調達することで経験を積んでもらう、若しくは、ビッグテック、GAFAみたいなところですね、こういったところのセミナーを開催して開発人材を育成する。
 利活用の人材につきましては、実はポータルサイトを立ち上げていまして、ここで、どう使うのかというようなコンテンツ、こういったものが展開できるような環境を用意したりしています。
 引き続き、デジタル人材、様々な分野で活躍をしていただかないといけません。しっかりと人材育成に取り組んでまいりたいと考えております。

 

 ということで、IPAでの取組がさらに充実することを期待したいと思います。

 余談ですが、「情報処理安全確保支援士」も、この法律に根拠条文が置かれています。

 

(参考)

www.meti.go.jp