デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

第217回国会のデジタル関係法(14)自殺対策基本法の改正(基本理念の追加)

(自殺対策の基本理念の追加)

 今年の通常国会(1月24日〜6月22日)で成立したデジタル関係の法律について、見落としていたものを見ていく3回目です。今回で、残務処理は終了の予定です。

 今回見てみるのは、自殺対策基本法の改正です。こちらは、参議院の議員提出の法案(議員立法)で、内閣法制局のHPに法案が掲載されないこともあり、ちょっと見落としていました。。

 デジタルに関する内容としては、基本理念として、「自殺対策は、デジタル社会の進展を踏まえ、情報通信技術、人工知能関連技術等の適切な活用を図りながら展開されるようにするとともに、自殺の防止においては、インターネット等を通じて流通する自殺に関連する情報が及ぼす影響に関する適切な配慮のための取組の促進に特に留意する旨を明記」する改正が行われています。

 かぎ括弧の部分は、こちらの概要資料からの引用です。

https://www.mext.go.jp/content/20250617-mxt_jidou01-000043153-001.pdf

 

(具体的な改正内容)

 今回の改正内容ですが、上記の通り、基本理念を定めている第2条に、デジタル社会の進展を踏まえた対策等を求める第6項が追加されています。

 (基本理念)
第二条 自殺対策は、生きることの包括的な支援として、全ての人がかけがえのない個人として尊重されるとともに、生きる力を基礎として生きがいや希望を持って暮らすことができるよう、その妨げとなる諸要因の解消に資するための支援とそれを支えかつ促進するための環境の整備充実が幅広くかつ適切に図られることを旨として、実施されなければならない。
6 自殺対策は、デジタル社会の進展を踏まえ、情報通信技術、人工知能関連技術等の適切な活用を図りながら展開されるようにするとともに、自殺の防止においては、インターネット等を通じて流通する自殺に関連する情報が及ぼす影響に関し適切な配慮がなされるようにするための取組の促進について特に留意されなければならない。

 

 自殺対策にデジタル技術やAI等を適切に活用することに加え、インターネットを通じて流通する自殺関連情報の影響に配慮して防止の取組み促進する、ということも定められていますね。

 なお、この法改正の施行は12月1日なので、普通にeGOV法令検索で調べるとまだ出てきません。

 

(その他:改正の趣旨等)

 後先になりますが、今回の改正の趣旨を見ると、以下のように記載されています。

自殺対策基本法が平成18年に施行されて以降、我が国の自殺者の総数は減少傾向にあるが、近年、こどもの自殺者数は増加傾向が続いている。
 令和6年の児童生徒の自殺者数は、529人で過去最多となった(平成30年以降、約43%増・最も数が少なかった平成5年と比べ約2.7倍)。
 10代における死亡原因の第1位が「自殺」であるのは、G7で我が国だけである。

 とても深刻な状況ですね。。余談ですが、このような深刻な状況を踏まえた、こどもに係る自殺対策を推進する体制整備の一つとして、今回の改正法の附則第3項では、こども家庭庁設置法が改正され、こども家庭庁の所掌事務として、こどもに係る自殺対策が追加されています。(こちらは、令和8年4月施行となっています。)

 (所掌事務)
第四条 こども家庭庁は、前条第一項の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。
 十七の二 こどもに係る自殺対策に関すること(他省の所掌に属するものを除く。)。

 

 第217回国会は以上までとして、次回は、第219回国会の提出法案を見ていければと思います。(第218回国会は、参議院議員通常選挙後の臨時会(参議院議長・副議長の選挙などが行われます。)のため、成立した法律はありませんでした。)

 

(参考)

www.sangiin.go.jp