(デジタル規制改革一括法(2023年)による公示送達のデジタル化)
昨日の官報(本紙)に、「行政手続法第十五条第四項等に規定する総務省令で定める方法を定める省令(総務一〇三)」という省令の制定についての掲載がありました。
こちら見てみたところ、行政手続法に関する公示送達をデジタルで行う場合の方法を総務省令で定めているものでしたので、経緯を少し整理しておきたいと思います。
まず、令和5年通常国会の「デジタル規制改革一括法」(デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律(令和五年法律第六十三号))では、「書面掲示規制」の見直しの一つとして、公示送達のデジタル化に関する法改正が行われています。
公示送達というのは、行政機関が国民等に対して通知を行う際に、所在不明で書類を送ることができない場合に、一定期間掲示板等に書類を掲載して、送達したものとみなすというような制度ですが、この公示送達の手続を、インターネットによる公表のような形でデジタル化するといった改正が行われたわけです。

公示送達の規定を持つ法令は多数存在しますが、デジタル規制改革一括法では、法律で公示送達の規定を置いているもののうちのいくつか(新旧対照表を見ると20件程度のようです)について、まとめて改正を行っています。行政手続法もこのときに一括改正された法律の一つになります。
(行政手続法の公示送達のデジタル化)
行政手続法の公示送達に関する具体的な改正内容ですが、「デジタル規制改革一括法」によって、聴聞の通知の方法を定めている第15条に第4項が追加されました。(未施行のため、eGOV法令検索で通常に検索した法文では出てきません。)
行政手続法では、行政庁が不利益処分を行う際に、名宛人に対して聴聞を行うことが定められているのですが、第15条第3項で、名宛人が所在不明の際には公示送達の方法で行うことができることとされています。この公示送達の方法をデジタル化するため、以下の通り第4号が追加されました。
(聴聞の通知の方式)
第十五条 行政庁は、聴聞を行うに当たっては、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、不利益処分の名宛人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
一〜四 (略)
3 行政庁は、不利益処分の名宛人となるべき者の所在が判明しない場合においては、第一項の規定による通知を、公示の方法によって行うことができる。
4 前項の公示の方法による通知は、不利益処分の名宛人となるべき者の氏名、第一項第三号及び第四号に掲げる事項並びに当該行政庁が同項各号に掲げる事項を記載した書面をいつでもその者に交付する旨(以下この項において「公示事項」という。)を総務省令で定める方法により不特定多数の者が閲覧することができる状態に置くとともに、公示事項が記載された書面を当該行政庁の事務所の掲示場に掲示し、又は公示事項を当該事務所に設置した電子計算機の映像面に表示したものの閲覧をすることができる状態に置く措置をとることによって行うものとする。この場合においては、当該措置を開始した日から二週間を経過したときに、当該通知がその者に到達したものとみなす。
赤字にさせていただきましたが、法律では「総務省令で定める方法により不特定多数の者が閲覧することができる状態に置く」とされていて、具体的には、総務省令で定めることとなっています。この総務省令が、昨日の官報に掲載されていたものとなります。
なお、一括改正された他の法律も概ね同様の改正が行われています。
(総務省令で定められた方法)
今回の総務省令で定められた方法ですが、とりあえず、省令は1条だけのものなので、本文を掲載しておきます。
◯行政手続法第十五条第四項等に規定する総務省令で定める方法を定める省令
行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条第四項(同法第二十二条第三項及び第三十一条において読み替えて準用する場合を含む。以下同じ。 ) に規定する総務省令で定める方法は、行政庁の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。 ) と公示事項(同法第十五条第四項に規定する公示事項をいう。第一号において同じ。 ) の閲覧をする者の使用に係る電子計算機(行政庁の使用に係る電子計算機と電気通信回線を通じて接続でき、正常に通信できる機能を備えたものに限る。 ) とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用する方法のうち、次の各号のいずれにも該当するものとする。
一 行政庁の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された公示事項を当該公示事項の閲覧をする者の使用に係る電子計算機の映像面に表示するもの
二 インターネットに接続された自動公衆送信装置(著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第二条第一項第九号の五イに規定する自動公衆送信装置をいう。 ) を使用するもの
まず、「行政庁の使用に係る電子計算機 と公示事項の閲覧をする者の使用に係る電子計算機 とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用する方法」ということで、例えば、県庁等のPC・サーバ等と県民等のPC・スマホ等をオンラインでつなぐ方法ということが定められています。
その上で、第1号、第2号のいずれにも該当するものとなっています。
第1号を見ると「行政庁の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された公示事項を当該公示事項の閲覧をする者の使用に係る電子計算機の映像面に表示」ということで、例えば、県庁等のPC・サーバ等のファイルの内容を、県民等のPC・スマホ等の画面に表示する、ということが求められています。まあ、これは普通にPDFファイルを見る場合などでも該当しますね。
次に第2号では、「インターネットに接続された自動公衆送信装置を使用するもの」とされていて、こちらもインターネットを通じて行う通常の方法と思います。自動公衆送信というのは、不特定多数の人(公衆)に自動で送信することですが、著作権法等では、公衆がアクセスすれば自動送信できる状態におくこと(送信可能化)も公衆送信に含まれることとされています。ですので、例えば県庁等が公示送達に関するファイルをウエブサーバにアップロードすることは、こちらの要件にも該当することになります。
丁寧に確認していくて、意外と規定ぶりは奥が深いですね。。
(参考)