デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

第219回国会のデジタル関係法(2)医療DX推進法

(医療法等の一部を改正する法律)

 すでに一週間くらい前になりますが、12月5日に、オンライン診療の推進や電子カルテ情報の共有などを盛り込んだ、医療DX推進法(医療法等の一部を改正する法律)が成立しました。第217回国会に法案が提出され、その後、継続審議となっていたものですが、このたび成立したものです。

 法案の提案理由は、以下の通りとなっています。

高齢化に伴う医療ニーズの変化や人口減少を見据え、地域において良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を構築するため、地域における医療機関の機能分化・連携強化に着目した地域医療構想の推進、医師の偏在是正に向けた取組の推進、オンライン診療の推進及び美容医療に係る規制の整備、医療情報の基盤の構築及び利活用の推進等を行う必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 

 上記の通り、法案全体の内容は、とても幅広いので、デジタルに関係する部分(赤文字に関する部分)ついて、実際の条文を見ていければと思います。

 

(オンライン診療の推進)

 今回の改正では、オンライン診療が医療法に位置づけられています。オンライン診療が、どのような定義になっているか、新設された条文を見てみると以下のとおりです。

第二条の二 この法律において、「オンライン診療」とは、医師又は歯科医師の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この項において同じ。)と患者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用し、映像及び音声の送
受信により、医師又は歯科医師及び遠隔の地にある患者が相手の状態を相互に認識しながら通話することが可能な方法による診療をいう。
2 この法律において、「オンライン診療受診施設」とは、当該施設の設置者が、業として、オンライン診療を行う医師又は歯科医師の勤務する病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院に対して、その行うオンライン診療を患者が受ける場所として提供
する施設をいう。

 

 オンラインを表す部分については、「Aの電子計算機とBの電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織」という、他の法令でもよく見られる規定振りになっていますね。

 ちなみに、第2項では、オンライン診療を受ける場所として提供される施設についても規定されています。

 

電子カルテ情報の共有)

 電子カルテ情報の共有については、医療法ではなく、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律医療介護総合確保法)という法律の改正で対応されています。

 最も典型的と思われる条文の規定ぶりを見ると、以下のとおりです。

 (地域における効率的かつ質の高い医療提供体制の構築のための調査及び分析)
第十二条の五 厚生労働大臣は、地域における効率的かつ質の高い医療提供体制の構築に資するため、電子診療録等情報について調査及び分析を行うことができる。
2 機構及び連合会は、厚生労働大臣に対し、電子診療録等情報を、厚生労働省令で定める方法により提供しなければならない

 (国民保健の向上のための匿名電子診療録等情報の利用又は提供)
第十二条の六 厚生労働大臣、国民保健の向上に資するため、匿名電子診療録等情報(電子診療録等情報に係る患者その他の厚生労働省令で定める者(次条及び第十二条の十一第一項において「本人」という。)を識別すること及びその作成に用いる電子診療録等情報を復元することができないようにするために厚生労働省令で定める基準に従い加工した電子診療録等情報をいう。以下同じ。)を利用し、又は厚生労働省令で定めるところにより、次の各号に掲げる者であって、匿名電子診療録等情報の提供を受けて行うことについて相当の公益性を有すると認められる業務としてそれぞれ当該各号に定めるものを行うものに提供することができる
 一 国の他の行政機関及び地方公共団体 適正な保健医療サービスの提供に資する施策の企画及び立案に関する調査
 二 大学その他の研究機関 疾病の原因並びに疾病の予防、診断及び治療の方法に関する研究その他の公衆衛生の向上及び増進に関する研究
 三 民間事業者その他の厚生労働省令で定める者 医療分野の研究開発に資する分析その他の厚生労働省令で定める業務(特定の商品又は役務の広告又は宣伝に利用するために行うものを除く。)
2・3 (略)

 

 電子カルテ情報は、「電子診療録等情報」というようです。カルテを指す法令用語として以前から「診療録」という用語は使われていましたので、その電子データということは、関係者には分かりやすいのだろうと思います。

 医療介護総合確保法の第12条の5として新設された条文で、厚生労働大臣電子カルテ情報を集めることができる旨がまず定めれれていて(同条第2項)、次に、第12条の6第1項で、厚生労働大臣が持っている電子カルテ情報を匿名化した上で、一定の者が公益性の高い業務で使う場合に提供できる、ということが定められています。

 電子カルテ情報については、仮名加工などについても定められていますが、長くなってしまうので、とりあえず割愛します。

 

 このほか、医療DXの運営にかかる母体として、厚生労働省の外郭団体社会保険診療報酬支払基金」が「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構」に改称され、関連システムの運営などを担うこととされました。こちらに関しては、「社会保険診療報酬支払基金法」が名称から変更されています。法律の題名を改正するとき、どういう条文になるのか、気になって改正法の該当条文を見てみたところ以下のようになっていました。

 

 (社会保険診療報酬支払基金法の一部改正)
第二十九条 社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)の一部を次のように改正する。
  題名を次のように改める。
    医療情報基盤・診療報酬審査支払機構法
  目次を次のように改める。
    (以下、略)

 

 「題名を次のように改める。」と、まあそのままですね。。実際に見てみると、それはそうか、という感じです。。

 (一部改正法については、リンクを参考欄に貼っておきます。)

 

(参考)

www.mhlw.go.jp