デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

第219回国会のデジタル関係法(4)DV防止法の改正

(DV防止法の一部を改正する法律)

 第219回国会でのデジタル関係法案を見ていく4回めですが、今回は、DV防止法の改正について見てみます。

 改正内容は、前回取り上げた、ストーカー防止法の改正とほぼ同じで、規制の対象(裁判所が発する命令により禁止される行為の対象)に、スマートフォン連携の「紛失防止タグ」(AirTag等)などを加えるというものです。ストーカー防止法の改正とDV防止法の改正は、衆・参それぞれ内閣委員会で一括審議されていて、両法案とも12月3日に成立しています。交付日も12月10日で同じで、12月30日(公布の日から起算して二十日を経過した日)から施行されます。(余談ですが、両法律に関する政令も同日(12月19日)に公布されています。)

令和7年12月19日官報目次

 

 DV防止法の一部改正法案の提案理由は、以下の通りとなっています。

最近における配偶者からの暴力等の実情に鑑み、裁判所が発する命令により禁止される行為として、紛失時における発見のために用いられる識別情報を送信する機能を有する装置の位置情報を、当該装置を所持する被害者の承諾を得ないで取得する行為等を追加する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 

 赤文字にしている部分は、ストーカー防止法の提出理由とほぼ同じ書きぶりになっています。

 

(具体的な改正内容)

 今回の改正では、「接近禁止命令等」における禁止行為として、以下の2つが追加されています。
・ 紛失防止タグの位置情報を取得する行為 (第10条第2項第10号関係)
・ 紛失防止タグを取り付ける行為等 (第10条第2項第11号関係)

 

 具体的に追加・改正されている部分は以下のとおりです。

 (接近禁止命令等)
第十条
2 前項の場合において、同項の規定による命令(以下「接近禁止命令」という。)を発する裁判所又は発した裁判所は、被害者の申立てにより、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日以後、接近禁止命令の効力が生じた日から起算して一年を経過する日までの間、被害者に対して次に掲げる行為をしてはならないことを命ずるものとする。
 一〜九 (略)
  その承諾を得ないで、その所持する位置特定用識別情報送信装置(当該装置を識別する情報を送信する機能を有し、当該装置の周辺において当該情報を受信した識別情報送受信装置(位置情報記録・送信装置その他の装置であって、当該情報を受信し、及び送信する機能を有するものをいう。)の位置に係る位置情報を利用して、その所在する地点又は区域の位置を特定するために用いられる装置をいう。以下この号及び次号において同じ。)(同号に規定する行為がされた位置特定用識別情報送信装置を含む。)の位置に係る位置情報を取得すること。
 十一 その承諾を得ないで、その所持する物に位置情報記録・送信装置又は位置特定用識別情報送信装置(以下この号において「位置情報記録・送信装置等」という。)を取り付けること、位置情報記録・送信装置等を取り付けた物を交付することその他その移動に伴い位置情報記録・送信装置等を移動し得る状態にする行為として政令で定める行為をすること。

 

(改正が必要だった理由)

 GPSなど(位置情報記録・送信装置)を使って相手の位置情報を取得することは、改正前のDV防止法でも、第9号で接近禁止命令等の対象とされていました。ですが、「紛失防止タグ」自体は位置情報を送信する機能を有しないため、現行の「位置情報記録・送信装置」という定義の下では、法規制の対象外となっていました。

 少し詳しく書きますと、(あまり良く分かっていないので不正確かもしれませんが、)紛失防止タグはBluetoothで近くにあるスマホと接続することができ、スマホが離れてタグと接続できなくなると、最後に接続された場所をスマホに記録する、ということができるようです。そして、この機能を利用して、多くの利用者のスマホがタグを検知することで、クラウド経由で位置を特定し、持ち主へ通知する仕組みが可能となるのだとか。。いずれにしても、紛失防止タグ自体にはGPS機能が備わっているわけではないため、従来の「位置情報記録・送信装置」の定義では、規制の対象外となってしまうわけです。

 そういう事情があって、、新たに第十号で設けられた「位置特定用識別情報送信装置」の定義では、「当該装置を識別する情報を送信する機能を有し、当該装置の周辺において当該情報を受信した識別情報送受信装置・・・・の位置に係る位置情報を利用して・・・・」となっています。これであれば、紛失防止タグも対象となります。

 

 とりあえず、今回は以上にしたいと思います。

 第219回国会は12月17日で閉会となりました。デジタル関係法は、あと気象業務法の改正だけと思います。気象業務法の改正は、次回見てみます。

 

(参考)

www.gender.go.jp