デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

日本版DBS制度の法的根拠など(こども性暴力防止法(2024年))

(日本版DBSとは?)

 12月下旬に入ったあたりから、「日本版DBS」のニュースなどが目立つようになってきた気がしますので、この機会に少し関係法律の規定などを見てみたいと思います。

 まず、「日本版DBS制度」というのは、令和6年6月に成立した「こども性暴力防止法」(学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律)で定められたものです。この「こども性暴力防止法」は、学校・保育所・学習塾など子どもと接する事業を行う事業者に対して、性犯罪歴のある人物の採用を防ぎ、性暴力防止のための研修や相談体制の整備などを義務付ける法律ですが、その義務の一つとして、学校設置者等が教員等を採用する際の採用予定者の性犯罪歴の確認等に関する義務が定められていて、この性犯罪歴の確認に関する仕組みのことを指して「日本版DBS」と呼ばれていることが多いようです。

 DBSというと、データベースシステムかと思ってしまうのですが、、これは、元になったイギリスの制度名 Disclosure and Barring Serviceから来ているそうです。前歴の開示と(就業の)禁止・制限(barの動詞としての意味)といったところでしょうか。。なお、「こども性暴力防止法」では、「犯罪事実確認」「犯罪事実確認義務」といった用語が使われています。

 

(デジタルに関係する規定ぶり)

 「日本版DBS制度」については、そのシステムが整備される前提での議論が行われていることが多い気がするのですが、「こども性暴力防止法」の条文自体には、システム整備を直接規定するような条文はありません。

 一方で、12月25日に、「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律施行規則(内閣府令第百四号)」という府令が制定されているのですが、その中では、例えば、以下のような条文が置かれています。

 (法第十一条等の内閣府令で定める措置)
第十二条 法第十一条及び第二十条第一項第六号(法第二十一条第三項において準用する場合を含む。)の内閣府令で定める措置は、管理責任者を設置し、及び犯罪事実確認記録等(法第三十八条第一項に規定する犯罪事実確認記録等をいう。以下同じ。)の管理に関する措置(以下「情報管理措置」という。)に係る規程(以下「情報管理規程」という。)を定め、これを遵守すること並びに民間教育保育等事業者(法第二条第五項に規定する民間教育保育等事業者をいう。以下同じ。)にあっては、その事業に従事する者を二人以上置くこととする。
2 情報管理規程には、次の各号に掲げる事項を記載しなければならない。
 一 基本的事項 次のイからホまでに掲げる事項
  イ 犯罪事実確認記録等を取り扱う者の範囲を必要最小限とすること。
  ロ 犯罪事実確認書の内容の記録及び保存を極力避けるとともに、やむを得ず犯罪事実確認書の内容を記録し、又は保存する場合には、漏えい等(次条第一号及び第二号に規定する論えい、滅失若しくは毀損又は第三者への提供をいう。)のリスクに応じた情報管理措置を講ずること。
  ハ 情報機器の種類、ネットワークの利用状況等に応じた情報管理措置を講ずること。
  ニ 犯罪事実確認記録等の取扱いの手順に応じて必要な対応を行うこと。
  ホ 組織の長が情報管理の重要性を理解し、組織的に点検及び改善を実施すること。
 二 次に掲げる措置として内閣総理大臣が定めるもの
  イ 組織的情報管理措置
  口 人的情報管理措置
  ハ 物理的情報管理措置
  ニ 技術的情報管理措置
3 (略)
4 犯罪事実確認実施者等(法第十五条第一項に規定する犯罪事実確認実施者等をいう。第十四条を除き、以下同じ。)は、当該情報管理規程に係る学校設置者等に係る事業において、初めて交付申請を行う前に、電子情報処理組織(こども家庭庁の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)と当該犯罪事実確認実施者等の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。以下この項において同じ。)を使用して、情報管理規程を内閣総理大臣に提出しなければならない。ただし、電気通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用することが困難であると認められる場合は、電子情報処理組織を使用しないで当該提出を行うことができる。
5〜8 (略)

 

 犯罪事実確認記録等の管理に関して、情報管理規程を定めなければならないことや、規程で定めなければならない事項が定められているほか、第4項では「電子情報処理組織」の使用が定められています。これらの規定ぶりから、情報システムの使用が前提になっていることが伺われますね。

(インターネット官報は、テキストがコピペできないので、とりあえず今日はここまでにして、、e-GOV法令検索に府令が反映されたら、他の条文も見てみたいと思います。。)

 

(法施行ガイドライン案)

 「こども性暴力防止法」の所管は、こども家庭庁ですが、こども家庭庁の有識者検討会(こども性暴力防止法施行準備検討会)が12月22日に、こども性暴力防止法に関する運用ガイドラインの案(「こども性暴力防止法施行ガイドライン(案)」)をとりまとめています。こうした背景もあり、最近ニュースで取り上げられている、ということがあるようです。

www.cfa.go.jp

 

 なお、日本版DBSと呼ばれる「犯罪事実確認義務」に関する部分の施行は、「公布の日から起算して二年六月を超えない範囲内において政令で定める日」とされています。こども性暴力防止法の施行が2024年6月ですので、おそらく2028年12月になると思われるところですが・・・、12月24日の官報を見ると、すでに政令第四百三十九号で、
「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律の施行期日は、令和八年十二月二十五日とする。」
と定められていました。(24日、25日で、政令・府令が制定されているわけですね。)

 こども家庭庁の資料には「この法律で定められている取組は、2026年12月25日に施行される予定」と以前から書かれていましたが、いよいよ施行が1年後に迫っているということで、関係者の関心も高まっているのだと思います。

(本来的には、前歴確認の対象となる職の範囲が内閣府令でどのように定められたかや、都道府県条例で定める罪のどこまでが政令で定めてられているか・・・といったことに関心が向けられるべきなのでしょうけど、、デジタルの切り口で備忘的に記録しているだけのものでして、、的はずれな部分はお許しいただければ幸いです。。)

 

 全く余談ですが、12月25日付けの法規的告示に以下のようなものもありました。。

こども家庭庁告示第11号

 将来的に、e-GOV法令検索が法規的告示も対象としていく際には、こうしたものも検索できるようになるんでしょうかね。。官報は白黒なので、色彩が注記されているところなど、味わい深いです。。

 

(参考)

www.cfa.go.jp