デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

第221回国会(特別会)のデジタル関係法(1)デジタル関係法案の提出状況

(デジタルに関係法案の提出状況)

 今回から、第221回第221回国会(特別会)(令和8年2月18日~7月17日)における、デジタル関係の法律の状況について見ていきます。

 今年は、令和8年通常国会の冒頭で解散総選挙が行われたため、選挙後の特別会が、通常国会並の会期(150日間)となっています。(60年ぶりくらいのことらしいですが、)概ね1月遅れくらいのスケジュールと思えばいいかと思います。

www.shugiin.go.jp

 

 3月31日時点では、42本の法案が閣議決定され、国会に提出されています。

 現在提出されている法案で、提出理由に「情報通信技術の進展への対応のため、」といった文言が含まれているものはないのですが、以下の法案では、デジタル化対応に関する内容が含まれているようです。

金融機能の強化のための特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案    金融庁

経済社会情勢の変化を踏まえた企業の事業活動の持続的な発展を図るための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案    経済産業省

出入国管理及び難民認定法及び出入国管理及び難民認定法第二条第五号ロの旅券を所持する外国人の上陸申請の特例に関する法律の一部を改正する法律案    法務省

産業技術力強化法の一部を改正する法律案    経済産業省

携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律の一部を改正する法律案    総務省

地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案    内閣府

 

(各法案のデジタル関係部分)

 上記の6法案について、それぞれの提出理由・概要から、デジタル化への対応に関係すると思われる内容は、以下のとおりです。完全に独断と偏見で見ていますので、単なる感想に近いですが、とりあえず備忘まで記載しておきます。

 

金融機能の強化のための特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案

 「人口減少等の環境変化の中で、地域金融機関等が経営基盤の強化を図り、地域経済に貢献する役割を十分に発揮していくための環境整備の一環として、金融機能強化法の資本参加制度・資金交付制度の期限延長・拡充等を行う。」ことを目的とした改正ですが、その資金交付制度の拡充の一つとして、「地域経済の活性化に向けた取組を前提に、中小の地域金融機関等によるシステム共同化を支援する枠組みを整備」という内容が盛り込まれています。(法案概要資料より)

 

経済社会情勢の変化を踏まえた企業の事業活動の持続的な発展を図るための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案

 産業用地等の産業基盤の整備のために行われる、地域未来投資促進法の改正に関して、「地域経済牽引事業について、生活環境との調和や地元の理解を前提とした工場立地法に基づく工場等の緑地面積率等の規制の特例や、データセンターに対する工業用水の供給の義務付け等を措置します。」とされています。(経産省HPより)

 クラウドやAIなどの技術が急速に進展する中で、データセンターは、デジタル社会を支える不可欠なインフラ」と思われますので、ピックアップしてみました。なお、「データセンター」は、省令レベルでの用例はありますが、法律でどのような定義が置かれるかなどに個人的には関心があります。

 

出入国管理及び難民認定法及び出入国管理及び難民認定法第二条第五号ロの旅券を所持する外国人の上陸申請の特例に関する法律の一部を改正する法律案

 JESTA(電⼦渡航認証制度)の創設に関する改正が行われます。

 米国への旅行などの際に、ESTA(エスタ)という渡航認証システムで、事前にオンラインで申請をされた経験がある方もいらっしゃるかと思います。JESTA(ジェスタ)は、いわば日本版ESTAで2028年度中に導入が予定されています。ビザ免除国の外国人(短期滞在者)が日本への旅行などの際に、このシステムを通じて、オンラインでの申請等を行うこととなります。

 

産業技術力強化法の一部を改正する法律案

 「産業技術に関する研究開発を推進するため、戦略的に重要な技術を特定し、その技術の研究開発を重点的に支援する」ための改正で、「革新的な技術(AI・先端ロボット、量子、半導体・通信等)を、支援すべき技術として指定する。」ことが行われるようです。(法案概要資料より)

 AI関係なので、ピックアップしました。

 

携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律の一部を改正する法律案

 改正の概要として、以下の内容が含まれています。

(1)契約締結時の本人確認等の対象となる電気通信役務の範囲の拡大
 役務提供契約の締結時における契約者の本人確認等の対象となる役務に、音声通信役務以外の電気通信役務(データ通信役務)を追加する。【題名、第1条~第3条関係】
※ これに伴い、法律の題名を「携帯通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯通信役務の不正な利用の防止に関する法律」に改めるとともに、役務の名称を「携帯通信役務」、事業者の名称を「携帯通信事業者」に改める。

 

地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案

 改正内容の一つとして、地方債のデジタル証券方式での発行を可能とするための、地方財政法の改正が含まれています。

内閣府法案概要資料(抜粋)

 証券のペーパレス化に関する内容ですが、「ブロックチェーン(分散型台帳)技術を用いて、電子的に発行・管理する」といった規定が置かれるのでしょうか。また規定ぶりを確認してみたいと思います。余談ですが、「ブロックチェーン技術」は省令レベルでの用例が1件あります。

 

 とりあえず、第221回国会への提出法案の現状確認としては、以上としたいと思います。

 

(参考)

www.clb.go.jp