はじめに
前回、法令本体におけるメインコンテンツである「本則」の説明は終了しましたが、今回は最後に残された、「附則(SupplProvision)」と「別表(AppdxTable)」について見ていきます。
今回で、以下の対応をすべて確認できたことになると思います。

(附則で何を定めているか)
これまでにも少し触れましたが、法令の規定は「本則」と「附則」から構成され、附則には、本則に関わる付随的な事項が定められています。
附則に規定される事項は法令の内容によって異なりますが、まず最初に施行期日に関する定めが置かれます。施行期日は、その法律がいつから効力を持つのかを明確にするために定められるもので、まず附則には施行期日が定められているということを押さえていただければと思います。
また、法律の改正が行われると、改正前の規定ぶりとの関係を明確にするための「経過措置」が置かれることがあるほか、附則で他の法令の規定が改廃される場合もあります。さらに、附則には、本則の特例が定められる場合や、附則に検討条項(見直し規定)が置かれることもあります。
一例として、国旗国歌法を見てみたいと思います。
◯国旗及び国歌に関する法律(平成十一年法律第百二十七号)
(国旗)
第一条 国旗は、日章旗とする。
2 日章旗の制式は、別記第一のとおりとする。
(国歌)
第二条 国歌は、君が代とする。
2 君が代の歌詞及び楽曲は、別記第二のとおりとする。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(商船規則の廃止)
2 商船規則(明治三年太政官布告第五十七号)は、廃止する。
(日章旗の制式の特例)
3 日章旗の制式については、当分の間、別記第一の規定にかかわらず、寸法の割合について縦を横の十分の七とし、かつ、日章の中心の位置について旗の中心から旗竿ざお側に横の長さの百分の一偏した位置とすることができる。
別記第一(第一条関係)
日章旗の制式(以下略)
附則の第1項で施行期日、第2項で他法令の廃止、第3項で特例が定められていることが分かると思います。 国旗国歌法の附則は、項だけになっていますが、附則の量が多い場合には、条が置かれます。附則も本則と同様に、条・項の入れ子構造になります。
(法令XMLでの表現)
法令XMLでは、<SupplProvision>タグで、 附則全体が囲まれます。
<SupplProvision>タグの子要素には、<SupplProvisionLabel> | <Chapter> | <Article> | <Paragraph> | <SupplProvisionAppdxTable> | <SupplProvisionAppdxStyle> | <SupplProvisionAppdx>があります。
<Article>(条)や <Paragraph>(項)の子要素・属性は、本則の場合と同様で、例えば、「公布の日から施行する」という一文は、さらにその中の<Sentence>タグに格納されています。
なお、附則の中に、表や様式が置かれることがあるため、<SupplProvisionAppdxTable>(附則別表)や <SupplProvisionAppdxStyle>(附則様式)などのタグが設けられています。
附則は、法令が新しく作られた時だけでなく、「改正」される度に追加されますので、多くの法令では、改正のたびに「附則(令和〇年〇月〇日法律第〇号)」というブロックがXMLの末尾に積み重なっていきます。この「附則の積み重ね」を読むことで、その法律がいつ、どのような経緯で現在の形になったのかという履歴(タイムライン)を読み込むこともできます。
(別表など)
法令によっては、附則の後に、多くの事項を列挙して法形式で整理する「別表」が置かれることがあります。手数料一覧や、地方支分部局のリストなど、文字データが表形式で記載されます。(説明を省略してしまいましたが、条文の中で表が置かれることもあります。この場合、<TableStruct>というタグが「項」<Paragraph>の下に置かれます。)
また、文字では十分伝わりきれない事柄を定めるために、図や様式などが法令の末尾に置かれる場合もあります。法令上は、「様式」「別図」「別記」「付録」といった形で置かれています。(こちらは、PDFなどの画像データで記載される場合もあります。)
ただ実のところ、「様式」「別図」「別記」「付録」の使い分けには、明確な基準がないため、すこし緩やかに見てもらえるとよいかと思います。
(<LawBody>直下の附属要素一覧)
「別表」などは、いずれも<LawBody>直下に置くことができるタグです。以下、簡単に一覧してみます。
<AppdxTable>(別表)
<AppdxTable>(別表)は、数値や区分などを表形式で示すものです。表構造(行・列)を持つタグになります。条文中で「別表第一による」などと参照されることが多いため、<RelatedArticleNum>(関係条文番号)のタグを子要素に持っています。
<AppdxStyle>(別記様式)
<AppdxStyle>(別記様式)は、申請書・届出書などのフォーマット(様式)を格納するタグです。表や記入欄などを含む構造になっています。外部のPDFファイル等への参照情報を持つ場合もあります。
<AppdxFig>(別図)
<AppdxFig>(別図)は、図面・模式図・イラストなどを格納するタグです。XML内では図の説明や外部ファイルへの参照情報を持ちます(実体は外部ファイルの場合が多いです)。
<AppdxNote>(別記)
<AppdxNote>(別記)は、本文を補足する注記・説明・詳細事項などを記載します。必ずしも様式や図ではない「文章中心の補足」ですが、比較的自由な記述形式です。国旗国歌法の例のように、図を伴う場合もあり、外部ファイルへの参照情報を持つこともあります。
<AppdxFormat>(別記書式)は、「様式」に近いですが、より「形式」や「フォーマット仕様」に重点をおいたものという感じです。(かなりレアと思います。)
<AppdxStyle>(別記様式)との違いは正直曖昧ですが、より抽象的・仕様寄りといった説明がされています。
<Appdx>(付録)
<Appdx>(付録)は、その他の附属資料全般です。上記のどれにも明確に分類されないものを収容できる要素なのですが、実例を見ると、一般的には計算式が定められているケースが多いようです。
まとめ
大雑把な整理ですが、以下のような感じです。

今回で、法令XMLの全体を概観できたかと思いますので、一旦ひと区切りとしたいと思います。
(参考)
houseikyoku.sangiin.go.jp
laws.e-gov.go.jp