(デジタル関係の法案の状況)
第221回国会(特別会)(令和8年2月18日~7月17日)における、内閣提出法案の状況は、内閣法制局のHPによると、5月15日時点で62法案となっています。
成立件数も17となっていますので、デジタルに関係しそうな法改正について、今回から少し見ていければと思います。
(金融機能強化法の改正)
提出理由
今回の金融機能強化法の一部改正法案(金融機能の強化のための特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案)の提出理由は、以下の通りとなっています。
地域の人口の減少等の社会経済情勢の変化に対応して金融機関等の経営基盤の強化を図るため、金融機関等の資本の増強に関する措置の期限を廃止して当分の間の措置とするとともに、大規模な災害等の事態における当該措置の特例の創設、共同で利用する情報処理システムの設計又は開発を実施する金融機関等に対して預金保険機構が資金を交付する制度の創設、協同組織金融機関が資本金等の額を減少して一般の優先出資を消却することができる制度の創設等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
今回の法改正の目的自体は、デジタル化がメインというわけではなく、金融機関等の経営基盤の強化というところにあるわけですが、赤字のように、情報処理システムの共同化に関する支援制度が創設されています。
法案の概要資料を見ると以下のような記載になっています。
●地域経済の活性化に向けた取組を前提に、中小の地域金融機関等によるシステム共同化を支援する枠組みを整備
(設計・開発期間等を考慮し、申請期限は「2036年3月末」まで)
新設条文
デジタル化に関する規定ぶりとしては、支援のスキームよりも(法的にはこちらが重要なのだと思いますが)情報システムに関する定めが気になりますので、見ていきたいと思います。
今回の改正では、システムの共同化のために新たに「節」が設けられ、その冒頭の条文で以下のような規定が置かれています。
第二節 共同化措置実施計画の認定等(第三十四条の十六―第三十四条の十九)
(共同化措置実施計画の認定)
第三十四条の十六 金融機関等が共同して利用する情報処理システム(当該金融機関等の業務の合理化に資するものとして主務省令で定めるものに限る。次項、第三項第四号及び第五号並びに第四項第三号及び第四号において「共同システム」という。)の設計又は開発(委託その他の方法によるものを含み、主務省令で定めるものに限る。)(以下この条において「共同化措置」という。)を実施する金融機関等(その業務の規模に照らして特に経営基盤の強化のために共同化措置を実施する必要があるものとして主務省令で定める要件に該当するものに限り、次項に規定する協同組織金融機関共同システムを利用する協同組織金融機関及び当該協同組織金融機関をその会員とする協同組織中央金融機関を除く。第六項において同じ。)は、単独で又は共同して、主務省令で定めるところにより、当該共同化措置の実施に関する計画(以下この条、次条第一項及び第四十八条第二項第四号において「共同化措置実施計画」という。)を作成し、令和十八年三月三十一日までに主務大臣に提出して、その認定を申請することができる。
2〜7 (略)
非常に長いのですが、カッコ書きを除いて赤字の部分を見てみると、規定ぶりとしては、特にめずらしくもないものでした。「情報処理システムの設計又は開発若しくは導入」という用例は、情報処理促進法にもあるものです。
(その他)
その他、今回の規定ぶりに関して、少し気になった点についての備忘です。
情報システム or 情報処理システム?
システムのことを規定する場合、「情報システム」とする場合と、「情報処理システム」とする場合とがありますが、用例としては「情報システム」の方がかなり多いです。
情報処理に着目するか、情報の管理(データベースの保存など含めて)に着目するかの違いなのかな・・・という気がしていたのですが、「情報システム」の方には定義がない場合も多く、結局、明確な使い分けの基準はよくわかりませんでした。ただ、システム標準化法などで、標準化の対象とするという場合などは「情報システム」とする方が適当な気がしますし、研究開発などの対象となるときは「情報処理システム」のほうが適当なのだろうと語感からは思います。。
AI技術に関する定義の変化
昨年成立したAI法(人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律)では、「人工知能関連技術」の定義の中で、「情報処理システム」の方が使われています。
(定義)
第二条 この法律において、「人工知能関連技術」とは、人工的な方法により人間の認知、推論及び判断に係る知的な能力を代替する機能を実現するために必要な技術並びに入力された情報を当該技術を利用して処理し、その結果を出力する機能を実現するための情報処理システムに関する技術をいう。
余談ですが、2016年の官民データ活用推進基本法の「人工知能関連技術」の定義は、以下の通りでした。
(定義)
第二条
2 この法律において「人工知能関連技術」とは、人工的な方法による学習、推論、判断等の知的な機能の実現及び人工的な方法により実現した当該機能の活用に関する技術をいう。
法律の趣旨が違うこともあるかと思いますが、昨年のAI法の定義では、人間の能力を代替するといった内容が加わるなど、だいぶ定義が変わっています。この間のAI技術の進展の大きさを改めて思いました。。
とりあえず、今週は以上です。
(参考)