デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

第221回国会(特別会)のデジタル関係法(7)携帯電話不正利用防止法の改正

(デジタル関係の法案の状況)

 第221回国会(特別会)(令和8年2月18日~7月17日)における、内閣提出法案の状況は、内閣法制局のHPによると、5月27日時点で62法案、成立件数は24となっています。

 デジタルに関係のありそうな法案は、以下の通りでしたが、「携帯電話の不正利用防止法」の一部改正法が成立しているようなので、今回はそれを見てみます。

金融機能の強化のための特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案    金融庁

経済社会情勢の変化を踏まえた企業の事業活動の持続的な発展を図るための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案    経済産業省

出入国管理及び難民認定法及び出入国管理及び難民認定法第二条第五号ロの旅券を所持する外国人の上陸申請の特例に関する法律の一部を改正する法律案    法務省

産業技術力強化法の一部を改正する法律案    経済産業省

携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律の一部を改正する法律案    総務省

地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案    内閣府

 

(携帯電話不正利用防止法の改正)

提出理由

 今回の携帯電話不正利用防止法の一部改正法案の提出理由は、以下の通りとなっています。

近年、携帯通信端末向けの電気通信役務の不正な利用が多様化・巧妙化していることに鑑み、当該電気通信役務を提供する事業者が契約締結時の本人確認等を行うべき役務に音声通信役務以外の電気通信役務を追加するとともに、特定の個人が同時に利用することができる携帯通信端末の数が一定数を超えることとなる場合に当該電気通信役務を提供する事業者が役務の提供を拒むことを可能にする等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 

 近年、スマートフォン向けの通信サービスを使った犯罪や不正利用の手口が、多様化・巧妙化しているということで、これまでの「通話サービス」だけでなく、データ通信やメッセージ送信などのサービスを契約する際にも、通信会社に対して本人確認を行うよう義務付ける、というのが前段の内容になるかと思います。

 大雑把ですが、以下の理解で意訳しています。。

電気通信役務(でんきつうしんえきむ)
➔ スマホ向けの通信サービス(通話、データ通信、SMSなど)。

当該電気通信役務を提供する事業者
➔ ドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルや格安SIM会社などの「通信会社」。

 

題名変更

 まず、今回法律の題名が「携帯通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯通信役務の不正な利用の防止に関する法律」に改められています。

 法律の題名が長いので分かりにくいですが、、

(旧)携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律

(新)携帯通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯通信役務の不正な利用の防止に関する法律

以上のように「携帯音声通信事業者」が「携帯通信事業者」に「携帯音声通信役務」が「携帯通信役務」に改正されています。

 最近のスマホの使い方として、電話機能よりもアプリでのやり取りなどが主流になってきていて、それらを悪用されることも多いことから、これまでの「通話サービス」だけでなく、データ通信やメッセージ送信などのサービスまで対象に加えよう、ということで、用語的には「音声」を削除して「通信事業」「通信役務(サービス)」としているわけですね。

 現在、e-Gov法令検索に登録されている(いわば正式の)略称は、「携帯電話不正利用防止法」なのですが、こちらは新しい題名に合わないですね。そのうち変わるのでしょうか。。

 

改正後の条文

 デジタル化に関する規定ぶりとしては、題名変更と同じく、音声・通話→通信という用語の改正が今回の改正の典型かと思います。

 具体的には、改正後の第2条(定義)を見てみます。

 (定義)
第二条 この法律において「携帯通信」とは、携帯して使用するために開設する無線局(第四項において「無線局」という。)と、当該無線局と通信を行うために陸上に開設する移動しない無線局との間で行われる無線通信をいう。
2 この法律において「携帯通信役務」とは、電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第三号に規定する電気通信役務(以下「電気通信役務」という。)のうち携帯通信に係るものであって、その電気通信役務の提供を受ける者の管理体制の整備を促進する必要があると認められるものとして総務省令で定めるものをいう。
3 この法律において「携帯通信事業者」とは、電気通信事業法第二条第五号に規定する電気通信事業者(第八条第二項において「電気通信事業者」という。)のうち携帯通信役務を提供するものをいう。
4 この法律において「携帯通信端末設備」とは、電気通信事業法第二条第二号に規定する電気通信設備のうち携帯通信を行うための無線局の無線設備をいう。
5・6 (略)

 

 音声・通話の語が削除されて、データ通信専用サービスや専用端末も包括する「携帯通信役務」「携帯通信端末設備」と定義が変わっています。

 ちなみに、第4項の「携帯通信端末設備」は、要すれば、スマホやタブレットなのですが、「携帯通信を行うための無線局の無線設備」という仰々しい定義になるのですね。。また、第1項では「携帯して使用するために解説する無線局」とありますが、こちらは電波法の定義に近いものです。電波法上、スマホや携帯電話は「無線局」として扱われ、電源を入れて電波を発信できる状態にすることを、「無線局を開設する」と規定しているそうなのですが、こちらも大変味わい深い規定ぶりです。

 電波法については、こちら参考にさせていただきました。

https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/corporate/technology/rd/technical_journal/bn/vol3_2/vol3_2_032jp.pdf

 

 とりあえず、今週は以上にします。

 

(参考)

www.soumu.go.jp

www.clb.go.jp