(デジタル関係の法案の状況)
第221回国会(特別会)(令和8年2月18日~7月17日)における、内閣提出法案の状況は、内閣法制局のHPによると、5月27日時点で62法案、成立件数は24となっています。(先週と変わっていないと思います。。)
デジタルに関係のありそうな法案は、以下の通りでした(備忘のためすでに扱ったものは取り消し線を引きました。)が、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」(第16次地方分権一括法案 )についても、現時点で成立しているようなので、今回はそれを見てみます。
金融機能の強化のための特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案 金融庁
経済社会情勢の変化を踏まえた企業の事業活動の持続的な発展を図るための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案 経済産業省
出入国管理及び難民認定法及び出入国管理及び難民認定法第二条第五号ロの旅券を所持する外国人の上陸申請の特例に関する法律の一部を改正する法律案 法務省
産業技術力強化法の一部を改正する法律案 経済産業省
携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律の一部を改正する法律案 総務省
地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案 内閣府
情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律及び情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案 内閣官房
個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案 個人情報保護委員会
学校教育法等の一部を改正する法律案 文部科学省
(第16次地方分権一括法案)
地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案
こちらの法案については、同じ名前の法案が毎年出されています。これらの法案は、別名「地方分権一括法」とも呼ばれていて、地方自治体からの提案募集に基づいて、国から地方自治体への事務・権限の移譲や、地方自治体への義務付け・枠付けの緩和等を行うために、関連する法案を一括して改正するものです。ですので、毎年同じ名前の法案でも、改正される内容はそれぞれ異なっています。
提出理由
そういう趣旨の法案なので、提出理由からは、具体の改正内容は分かりにくいです。
地域の自主性及び自立性を高めるための改革を総合的に推進するため、地方公共団体等の提案等を踏まえ、地方公共団体に対する義務付けを緩和する等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
地方債のデジタル証券化
具体の改正内容を確認するため、内閣府のHPで法案の概要資料を見てみますと、今回の改正内容の一つとして、地方債のデジタル証券方式での発行を可能とするための、地方財政法の改正が含まれていると分かります。

(地方財政法の改正)
改正後の条文
今回の地方財政法の改正は、証券のペーパレス化に関する内容ということで、概要資料にも「ブロックチェーン」などの用語も出てくるので、どのようにデジタルっぽい条文が設けられるのかと期待していたのですが、、新たな規定を見たところ、金融商品取引法の定義が引用されているだけでした。
(地方債証券等の発行の方法による地方債)
第五条の五 地方公共団体は、次に掲げるものを発行する方法によつて地方債を起こす場合には、募集又は交付の方法によることができる。
一 地方債証券
二 地方債証券に表示されるべき権利であつて、金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第二項の規定により地方債証券とみなされるもの
改めて法案の要綱を見てみると、「地方公共団体は、地方債証券に表示されるべき権利であって、金融商品取引法第二条第二項の規定により地方債証券とみなされるものを発行する方法によって地方債を起こすことができるものとする。」とありますので、そのままなのですが。。従来の条文では、「証券を発行する方法によって」とされていて、正に書面規制の典型のような条文だったところ、今回の改正で、その書面規制が緩和されたことになります。
ちなみに金融商品取引法第2条第2項の規定は、以下のとおりです。第2条第1項第2号の「地方債証券」について、証券が発行されていなくても有価証券とみなす、こととされています。
(定義)
第二条 この法律において「有価証券」とは、次に掲げるものをいう。
二 地方債証券
2 前項第一号から第十五号までに掲げる有価証券、同項第十七号に掲げる有価証券(同項第十六号に掲げる有価証券の性質を有するものを除く。)及び同項第十八号に掲げる有価証券に表示されるべき権利(同項第十四号に掲げる有価証券及び同項第十七号に掲げる有価証券(同項第十四号に掲げる有価証券の性質を有するものに限る。)に表示されるべき権利にあつては、資金決済に関する法律(平成二十一年法律第五十九号)第二条第五項第三号又は第四号に掲げるものに該当するもので有価証券とみなさなくても公益又は投資者の保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして政令で定めるものを除く。)並びに前項第十六号に掲げる有価証券、同項第十七号に掲げる有価証券(同項第十六号に掲げる有価証券の性質を有するものに限る。)及び同項第十九号から第二十一号までに掲げる有価証券であつて内閣府令で定めるものに表示されるべき権利(以下この項及び次項において「有価証券表示権利」と総称する。)は、有価証券表示権利について当該権利を表示する当該有価証券が発行されていない場合においても、当該権利を当該有価証券とみなし、電子記録債権(電子記録債権法(平成十九年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子記録債権をいう。以下この項において同じ。)のうち、流通性その他の事情を勘案し、社債券その他の前項各号に掲げる有価証券とみなすことが必要と認められるものとして政令で定めるもの(第七号及び次項において「特定電子記録債権」という。)は、当該電子記録債権を当該有価証券とみなし、次に掲げる権利は、証券又は証書に表示されるべき権利以外の権利であつても有価証券とみなして、この法律の規定を適用する。
一〜七 (略)
とりあえず、今週は以上にします。
(参考)