(デジタル関係の法案の状況)
第221回国会(特別会)(令和8年2月18日~7月17日)における、内閣提出法案の状況は、内閣法制局のHPによると、6月10日時点で提出は63法案、成立件数は35となっています。先週から成立が11件増えています。
デジタルに関係のありそうな法案は、以下の通りでした(備忘のためすでに扱ったものは取り消し線を引きました。)が、今回は「経済社会情勢の変化を踏まえた企業の事業活動の持続的な発展を図るための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案」について見てみます。
金融機能の強化のための特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案 金融庁
経済社会情勢の変化を踏まえた企業の事業活動の持続的な発展を図るための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案 経済産業省
出入国管理及び難民認定法及び出入国管理及び難民認定法第二条第五号ロの旅券を所持する外国人の上陸申請の特例に関する法律の一部を改正する法律案 法務省
産業技術力強化法の一部を改正する法律案 経済産業省
携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律の一部を改正する法律案 総務省
地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案 内閣府
情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律及び情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案 内閣官房
個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案 個人情報保護委員会
学校教育法等の一部を改正する法律案 文部科学省
(産業競争力強化法等の一部改正法案)
地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案の提出理由
上記の産業競争力強化法等の一部改正法案の提出理由は以下のとおりです。
国際情勢の複雑化、物価の変動、人口の減少、少子高齢化の進展等の経済社会情勢の変化に適切に対応して、我が国企業の事業活動の持続的な発展を図るため、予見し難い国際経済事情の急激な変化に対応する設備投資等による事業変更を行おうとする者、事業に要する費用の上昇に対応する設備投資等による事業変更を行おうとする者及び生活の維持に係る物品又は役務の需要の減少又は供給の不足に対応する事業の効率化等の事業変更を行おうとする者の当該事業変更に係る計画認定制度の創設並びにこれらに係る支援措置等を講ずるとともに、株式会社日本貿易保険が行う貿易保険等の引受けのうち、海外の需要の開拓又は我が国の経済活動が依拠している重要な物資の安定的な供給の確保による本邦企業の供給網の強靱化の対応のため特に必要な日本国政府と日本国以外の国の政府との間の取決めとして経済産業大臣が定める取決めに係る引受けについて、当該引受けに係る業務に関する経済産業大臣による指針の策定の措置等を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
社会情勢の変化に対応していろいろな支援制度ができるのだな・・・という感じですが、提出理由からは、デジタルとの関係は見当たらないところです。。
地域未来投資促進法の改正
ですが、経産省のHPで法案の概要を見ると、産業用地等の産業基盤の整備のために行われる「地域未来投資促進法」の改正に関して、「地域経済牽引事業について、生活環境との調和や地元の理解を前提とした工場立地法に基づく工場等の緑地面積率等の規制の特例や、データセンターに対する工業用水の供給の義務付け等を措置します。」とされています。
クラウドやAIなどの技術が急速に進展する中で、データセンターは、デジタル社会を支える不可欠なインフラ」と思われますので、一応デジタル関係かなということでピックアップしました。
(地域未来促進法の改正)
改正後の条文
今回の「データセンターに対する工業用水の供給の義務付け」の規定を確認してみたところ、以下のように、まず「地域経済牽引事業」の基本計画に、データセンターへの工業用水の供給に関する事項を盛り込むように第4条第2項第9号が改正されていました。加えて、データセンターへの工業用水の供給について、工業用水事業法を適用するという旨を定める条文が新たに設けられています(第18条の4)。
(基本計画)
第四条
2 基本計画においては、次に掲げる事項について定めるものとする。
九 地域経済牽引事業の促進に当たって地域経済牽引事業用情報処理施設(地域経済牽引事業の用に供する施設のうち、業として大量の情報につき高速度での処理を行うために運営される施設をいう。以下同じ。)に対する工業用水(工業用水道事業法(昭和三十三年法律第八十四号)第二条第二項に規定する工業用水をいう。第十八条の四において同じ。)の供給を行う場合にあっては、その供給に関する事項
(工業用水道事業法の特例)
第十八条の四 承認地域経済牽引事業計画において第十三条第三項第四号イに掲げる事項として所在地が記載された地域経済牽引事業用情報処理施設(以下この条において「承認地域経済牽引事業用情報処理施設」という。)の所在地を給水区域に含む工業用水道事業者については、当該承認地域経済牽引事業用情報処理施設に対する水の供給を工業用水道事業法第二条第四項に規定する工業用水道事業として行う工業用水の供給とみなして、同法の規定を適用する。この場合において、同条第一項中「及び熱供給業」とあるのは、「、熱供給業及び業として行う地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律(平成十九年法律第四十号)第十八条の四に規定する承認地域経済牽引事業用情報処理施設の運営」とする。
データセンターが法律用語としてどのように表現されるのか、ということが主要な関心だったのですが、「地域経済牽引事業用情報処理施設(地域経済牽引事業の用に供する施設のうち、業として大量の情報につき高速度での処理を行うために運営される施設をいう。)」という定義になっています。
似たような規定ぶりとしては、情報処理促進法の第47条第1項第12号に、「情報処理サービス業を営む会社が大量の情報につき高速度での処理を行うことができる性能を有する設備として経済産業省令で定める設備(経済産業省令で定めるその附属設備を含む。)の導入を行うために必要な資金を調達するために発行する社債又は当該資金を借り入れる場合における・・・」というものがあります。
こちらの条文を意識して見たことはなかったのですが、こちらもデータセンターが対象になるのでしょうかね。。
ちなみに、省令レベルでは「データの処理を目的としたコンピュータやデータ通信のための装置の設置及び運用に特化した建物又は室(以下この項において「データセンター」という。)」という定義が置かれている例(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律施行規則第35条第4項)があり、このようなものを想定していました。ですが、法律ではやはり漢字語が強いようです。。
とりあえず、今週は以上にします。
(参考)