デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

第221回国会(特別会)のデジタル関係法(10)出入国管理法(JESTA)、産業技術力強化法の改正(重要産業技術)

(デジタル関係の法案の状況)

 第221回国会(特別会)(令和8年2月18日~7月17日)における、内閣提出法案の状況は、内閣法制局のHPによると、6月19日時点で提出は63法案、成立件数は44となっています。先週から成立が9件増えています。

 デジタルに関係のありそうな以下の法案のうち(備忘のためすでに扱ったものは取り消し線を引きました。)、今回は、出入国管理法と産業技術力強化法の改正について見てみます。

金融機能の強化のための特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案    金融庁

経済社会情勢の変化を踏まえた企業の事業活動の持続的な発展を図るための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案    経済産業省

出入国管理及び難民認定法及び出入国管理及び難民認定法第二条第五号ロの旅券を所持する外国人の上陸申請の特例に関する法律の一部を改正する法律案    法務省

産業技術力強化法の一部を改正する法律案    経済産業省

携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律の一部を改正する法律案    総務省

地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案    内閣府

情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律及び情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案    内閣官房

個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案    個人情報保護委員会

学校教育法等の一部を改正する法律案    文部科学省

 

(出入国管理法法の改正)

法案の提出理由

 まず、1つ目の「出入国管理及び難民認定法及び出入国管理及び難民認定法第二条第五号ロの旅券を所持する外国人の上陸申請の特例に関する法律の一部を改正する法律案」の提出理由は以下のとおりです。

我が国における出入国管理の現状等に鑑み、厳格な出入国管理を実現し、併せて上陸審査の手続の一層の円滑化を図るため、査証を必要としないこととされている外国人で本邦に短期間滞在して観光等の活動を行おうとするものについて、認証を受けたことを上陸のための条件とするとともに、当該認証を受けた場合には上陸許可の証印に代わる措置を可能とする制度の創設等を行うほか、外国人の出入国及び在留の公正な管理に関する施策を推進するため、在留資格の変更の許可等に係る手数料の額の上限額を引き上げる等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 

 こちらは、ESTA(米国の渡航認証システム)の日本版に当たるJESTAを創設する内容を含んだ法案でした。ビザ免除国の外国人(短期滞在者)が日本への旅行などの際に、このシステムを通じて、オンラインでの申請等を行うこととなりますので、デジタル化に関するものと言えると思います。

 

改正後の条文

 今回の改正で新設された条文のうち、JESTAでの認証に該当する部分は以下の規定になるかと思います。法務省令で定めるところにより、必要な情報として法務省令で定める事項を電磁的方式によって提供する、ということで、具体的な「電磁的方式」などはいずれ省令を見てみたいと思います。ただ、施行期日は、「令和十一年三月三十一日までの間において政令で定める日」となりますので、少し先かもしれませんが。。

 

第七条の二 出入国在留管理庁長官は、査証免除対象者であつて、本邦において別表第一の三の表の短期滞在の項の下欄に掲げる活動を行おうとするものから、法務省令で定めるところにより、次に掲げる条件に適合していることを証明するために必要な情報として法務省令で定める事項が電磁的方式によつて提供されたときは、当該条件に適合している旨の認証をすることができる。
 一 有効な旅券を所持していること。
 二 本邦において行おうとする活動が虚偽のものでないこと。
 三 在留しようとする期間が第二条の二第三項の法務省令で定める在留期間を超えない範囲内であること。
 四 当該外国人が第五条第一項各号のいずれにも該当しないこと。

 

 そして、JESTAで認証を受けた者については、上陸許可の証印に代えて、システムに記録が残されることとなります。(なお、この条文の赤文字の部分(「上陸許可の証印に代わる記録のために用いられるファイルであつて法務省令で定める電子計算機に備えられたものに記録する」)自体は、今回の改正前から存在する部分です。)

 

(上陸許可の証印)
第九条 入国審査官は、審査の結果、外国人が第七条第一項に規定する上陸のための条件に適合していると認定したときは、当該外国人の旅券に上陸許可の証印をしなければならない。
4 入国審査官は、次の各号のいずれにも該当する外国人が第七条第一項に規定する上陸のための条件に適合していると認定したときは、氏名、上陸年月日、上陸する出入国港、在留資格及び在留期間(次項の規定により短期滞在の在留資格及び在留期間が決定された場合に限る。)その他法務省令で定める事項を上陸許可の証印に代わる記録のために用いられるファイルであつて法務省令で定める電子計算機に備えられたものに記録することができる。この場合においては、第一項の規定にかかわらず、同項の証印をすることを要しない。
 一 次のイからハまでのいずれかに該当する者(イ又はハに該当する者にあつては、その者の写真、氏名、国籍の属する国又は第二条第五号ロの政令で定める地域、生年月日、性別その他の法務省令で定める事項が電磁的方式により記録された旅券を所持しているものに限る。)であること。
 イ 第七条の二の認証を受けた者
 ロ・ハ (略)
 二 (略)

 

 法務省の法改正は、いわゆる「概要資料」がなく、いつも解読に難儀するので、、もしかすると何か見落としてるかもしれませんが、とりあえず、確認は以上にします。

 

(産業技術力強化法の一部改正法案)

法案の提出理由

 次に、産業技術力強化法の一部改正法案の提出理由は以下のとおりです。

産業技術に関する研究及び開発を推進するため、産業技術研究法人の対象の拡大等を行うとともに、重点的に研究及び開発を推進することが必要な産業技術を重点産業技術として指定し、事業者によるその研究及び開発に関する計画の認定並びに事業者と共同してその研究及び開発を行うための体制が確保されている大学等の認定に係る手続、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構によるこれらの認定を受けた者に対する助言、補助金等交付財産の転用に係る承認手続の特例等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 

 これは、なんでデジタルに関係するのだろう・・・と、すでに記憶が曖昧になっていたのですが、今回の改正の中で、「重点産業技術の指定」という制度が設けられることとなっていて、「革新的な技術(AI・先端ロボット、量子、半導体・通信等)を、支援すべき技術として指定します。」ということが、経産省のHPにあったので、AIなどのデジタルに関する技術の規定ぶりを見ておこうと思ったのでした。。

 

改正後の条文

 今回の改正で申請つされた第20条では、「重点産業技術の指定」ということで、「我が国の産業技術力の強化のため産業技術に関する研究及び開発を重点的に推進することが必要と認められるときは、政令で、当該産業技術を重点産業技術として指定する」という趣旨の規定が設けられています。

 要すれば、何が重要産業技術に該当するかなどは、政令レベルで定められることになるようですね。法律レベルでは、重要産業技術という規定ぶりとなります。

 

 (重点産業技術の指定)
第二十条 産業技術について、当該産業技術に関する研究及び開発の成果が多様な事業活動において利用される見込み並びに当該産業技術の革新性を勘案し、我が国の産業技術力の強化のため当該産業技術に関する研究及び開発を重点的に推進することが必要と認められるときは、政令で、当該産業技術を重点産業技術として指定するものとする。

 

 ということで、あまりデジタル技術を想起させるような規定ぶりではないと分かりましたので、こちらの法改正の確認については、このくらいにしたいと思います。

 

 今週は以上にします。

 

(参考)

www.moj.go.jp

www.meti.go.jp

www.clb.go.jp