(デジタル関係の法案の状況)
第221回国会(特別会)(令和8年2月18日~7月17日)における、内閣提出法案の状況は、内閣法制局のHPによると、6月25日時点で提出は63法案、成立件数は46となっています。先週から成立が2件増えています。最近は、皇室典範の改正なども報道がされていますが、今国会に提出されるのでしょうか。。。
さて、デジタルに関係のありそうということでピックアップしていた以下の法案のうち(備忘のためすでに扱ったものは取り消し線を引きました。)、成立しているものとして、今回は、学校教育法の改正について見てみます。
金融機能の強化のための特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案 金融庁
経済社会情勢の変化を踏まえた企業の事業活動の持続的な発展を図るための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案 経済産業省
出入国管理及び難民認定法及び出入国管理及び難民認定法第二条第五号ロの旅券を所持する外国人の上陸申請の特例に関する法律の一部を改正する法律案 法務省
産業技術力強化法の一部を改正する法律案 経済産業省
携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律の一部を改正する法律案 総務省
地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案 内閣府
情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律及び情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案 内閣官房
個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案 個人情報保護委員会
学校教育法等の一部を改正する法律案 文部科学省
(学校教育法の改正)
法案の提出理由
学校教育法等の一部を改正する法律案の提出理由は以下のとおりです。
情報通信技術の進展に鑑み、児童生徒の教育の充実を図るため、小学校等において電磁的記録を含む教科書の使用を可能とするとともに、当該教科書の発行及び無償措置に係る規定を整備する等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
下線の通り、デジタル教科書の使用を可能とする、というのが主な内容です。
改正後の条文
今回の改正では、「小学校、中学校、高等学校等の授業で使用しなければならない「教科用図書」 について、紙媒体に限定している「教科用図書」という現行規定を改め、デジタルな形態を含み得るよう、新たに「教科書」を規定する。」ということです。
わかりやすいように、新旧対照表から「見え消し」を作ってみると以下のようになります。
第三十四条 小学校においては、教科書(文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は教科用の教材又は文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を教科用の教材をいう。次項及び附則第九条において同じ。)を使用しなければならない。
② 前項に規定する教科用図書(以下この条において「教科用図書」という。)の内容を文部科学大臣の定めるところにより記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)である教材がある場合には、同項の規定にかかわらず、文部科学大臣の定めるところにより、児童の教育の充実を図るため必要があると認められる教育課程の一部において、教科用図書に代えて当該教材を使用することができる。
教科用図書→教科用の教材
これまでは、「教科用図書」と法律で規定していたので、紙の教科書でなければならなかったところ、「教科用の教材」とすることで、デジタル教科書でも認められるようになった、ということです。
では、GIGAスクール構想で小中学生等全員にタブレットやPCを配布して、それらを使って見ていたデジタル教科書は一体何だったのだろう、という疑問が出てくるところですが、あれは今回削除された34条2項を根拠に代替教材として認められていたものでした。
紙の教科書のよさはあるのでしょうが、体育や技術家庭などの実技は、動画とかのほうが分かりやすいこともあるでしょうし、これを機に更にデジタル教材等の活用も進むことを期待したいと思います。(こういうことを言うと、いや写真と解説の方が理解できるのだ、教科書は児童生徒の発達段階も踏まえて専門家が執筆して検定を経て・・・とか言われそうなので、もうやめますが、実際、学校の先生が「まつり縫い」や「彫刻刀の使い方」を児童に見せたりしている例を複数聞いたことがあります。)
デジタル技術の活用を想起させる規定ぶりは、むしろ削除された2項の方ですが、技術中立的な「教科書」の定義がなされたということで、こちらの法改正の確認については、以上にしたいと思います。
(参考)