デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

マイナンバー法施行規則の改正

マイナンバーカード交付時の本人確認)

 マイナンバーカードの交付の際には、本人確認書類を提示するという手続きがありまして、大学生の場合には、学生証を本人確認書類の一つとして使用できるような定めになっていたのですが、大学側が学生証アプリなどでデジタル化を進めている場合には、本人確認書類として使えないという課題がありました。

 このことは、昨年12月のデジタル臨時行政調査会の工程表にも「マイナンバーカードの交付時の本人確認の手法について、学生証アプリの提示による本人確認を行う場合の運用手法や真正性の確認のために求められる機能等を含めて検討を行った上で、関係省庁において、令和4年度内を目途に結論を得て、必要な措置を行う。」と記載されていたものですが、このことに対応するためのマイナンバー法施行規則の改正が行われるようです。

 「行われるようです」という言い方をしたのは、現在、この規則改正の案が、パブリックコメントの手続きに付されているためです。(4月いっぱいは、意見が出せるようですので、ご感心のある方は、下記のリンクから内容を御覧ください。)

public-comment.e-gov.go.jp

 

(具体的な改正案)

 具体的には、マイナカード交付の際の本人確認の要件を定める第4条が、以下のように改められる見込みです。(下線部が追加されます。)

 (市町村長が個人番号カードを交付する場合の本人確認の措置)
第四条 令第十三条の二第二号の主務省令で定める書類は、次に掲げるいずれかの書類とする。
 三 前二号に掲げる書類の提示を受けることが困難であると認められる場合には、次に掲げる書類(ロに掲げる書類に相当する電磁的記録の作成がされている場合における当該電磁的記録に記録された事項が表示された移動端末設備電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第十二条の二第四項第二号ロに規定する移動端末設備をいう。以下この号及び第五号イにおいて同じ。)の映像面であって、市町村長が適当と認めるもの(表示された事項に係る電磁的記録が不正に作られた電磁的記録でないことを確認するため、当該移動端末設備の操作を求めることその他の市町村長が適当と認める措置をとる場合に限る。)(以下「映像面」という。)の提示を受けた場合にあっては、イに掲げる書類)
  ロ イに掲げるもののほか、官公署から発行され、又は発給された書類その他これに類する書類であって、市町村長が適当と認めるもの(交付申請者に係る住民票に記載されている個人識別事項の記載があるものに限る。)

 

 これまでは、書面の「書類」でなければだめだったのが、カッコ書きの記載が追加されたことで、スマホを使って、学生書アプリの画面を提示する方法も認められることとなるわけですね。

 

(移動端末設備の映像面とは)

 学生証アプリについては、スマホの画面で確認することになりますが、スクリーンショットなどでなく、本物であることを確認する作業が必要になります。さきほど引用した条文の赤文字にした部分が、そういうことを表現しています。

 スマホの画面は、法令用語としては「移動式端末の映像面」という用語が使われています。また、スクショでないことの確認や、学生証アプリを使う場合などは、それぞれ以下の右側のような表現で表されています。

 スマホ: 移動式端末

 スマホの画面: 移動式端末の映像面

 スクショでないことの確認: 不正に作られた電磁的記録でないことを確認

 学生証アプリを使う場合: 書類に相当する電磁的記録の作成がされている場合

 なお、左と右の語は、一対一対応ではないです。(右側の法令上の表現が、左を含んでいるということです。)わかりやすく示そうと思ったのですが、、かえってややこしいかもしれませんね。。 そうだったらすみません。。

 

 なお、学生証については、国公立大学なら「官公署から発給された書類」、私立大学なら「これに類する書類」に当たると思われますが、いずれも「市町村長が適当と認めるもの」という要件があります。加えて、アプリについても、「市町村長が適当と認めるもの」とありますので、いずれにしても「各市町村の窓口にお問い合わせください」という扱いになるものと思います。。

 

(参考)

www.digital.go.jp