デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

押印の見直しに関する法改正(2021年)(2)総務省関係

(押印義務の廃止)

 コロナ禍で、押印を求める行政手続の押印義務の廃止が進められていますが、このうち、法律に基づく押印義務については、2021年のデジタル社会形成整備法の中で、一括改正が行われています。

 今回は、総務省関係の法律を見てみます。

 

総務省関係の法律)

 総務省関係では、デジタル社会形成整備法で、4つの法律の押印義務が廃止されています。以下、具体的な改正内容を見ていきます。

 

地方自治法

第七十四条の二 条例の制定又は改廃の請求者の代表者は、条例の制定又は改廃の請求者の署名簿を市町村の選挙管理委員会に提出してこれに署名し印をおした署名した者が選挙人名簿に登録された者であることの証明を求めなければならない。この場合においては、当該市町村の選挙管理委員会は、その日から二十日以内に審査を行い、署名の効力を決定し、その旨を証明しなければならない。

 

 直接請求に係る署名簿への押印の廃止について、「署名し印をおした者」を「署名した者」と改めることで対応しています。

 

◯鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律

(裁定の申請)
第二十五条の二
2 申請書には、次の各号に掲げる事項を記載し、申請人又は代理人れに署名押印しなければ記載しなければならない。
 一 申請人及び代理人氏名又は名称及び住所
 二 法定代理人の氏名又は名称及び住所

 公害等調整委員会が行う不服の裁定に係る申請書への押印廃止に関するものですが、押印のみでなく、署名も廃止し、申請書への記載事項としての氏名の記載の規定のみが残されています。

 

政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律

(変更の登記)
第七条の二
2 前項の規定による登記の申請書には、前条第二項各号に掲げる事項の変更があったことを証する代表権を有する者の記名押印した有する者の記名した書面(代表権を有する者の変更があった場合には、他に代表権を有する者があるときは当該変更があったことを証するその者の記名押印した書面とし、他に当該書面を作成することができる代表権を有する者がないときは当該変更があったことを証する代表権を有していた者及び代表権を有するに至った者の記名押印した書面とする。)を添付しなければならない。

 

 政党等の登記手続における添付書面への押印廃止に関するもので、上に記載した第7条の2のほか、第7条の3、第10条、第12条でも同様の改正が行われています。(なお、「押印」の部分だけに取消線を引けば良い気もするのですが、一応新旧対照表を反映した見え消しの記載にしています。)

 

行政不服審査法

(口頭による審査請求)
第二十条 口頭で審査請求をする場合には、前条第二項から第五項までに規定する事項を陳述しなければならない。この場合において、陳述を受けた行政庁は、その陳述の内容を録取し、これを陳述人に読み聞かせて誤りのないことを確認し、陳述人に押印させなければ確認しなければならない。

 

 口頭で審査請求を行う陳述人の押印廃止に関するものです。そもそもの条文で、確認のための押印のみが定められていたというのは、ちょっと珍しいですね。

 

 以上で、総務省関係は全てとなります。単純なパターンでないものもあり、それなりに発見もありましたので、見てみる意味はあったかなと思います(笑)。次回は、法務省関係から見ていきたいと思います。

 

(参考)

www.clb.go.jp