デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

個人情報保護法の改正(2021年)

個人情報保護法の改正(2021年))

 前回、2020年の個人情報保護法の改正について、データの利活用の促進のための改正を中心にご紹介しましたが、2021年のデジタル社会形成整備法での個人情報関係3法の統合について、今回は見てみたいと思います。

 以前の回でも、少し書いたのですが、この2021年の改正までの日本の個人情報保護の制度については、個人情報保護法行政機関個人情報保護法独立行政法人個人情報保護法という三本立てになっていました。さらに、このほか、各地方自治体の個人情報保護条例があり、それぞれの規定や運用が異なるという、いわゆる「2000個問題」が生じていました。

 2021年の個人情報保護法改正では、これらの課題への対応がなされています。

 

(三本の法律の一元化)

 まず、個⼈情報保護法、⾏政機関個⼈情報保護法、独⽴⾏政法⼈等個⼈情報保護法の3本の法律が1本の法律に統合されました。地⽅自治体の個⼈情報保護制度についても統合後の法律で全国的な共通ルールを規定し、全体の所管は、個⼈情報保護委員会に⼀元化されました。

 もともとあった三本の法律は、個人情報保護法が個人情報法保護委員会の所管で、その他の二本の法律は総務省の所管でした。ちなみに、個人情報保護委員会というのは、内閣府の外局で、国の行政機関です。

 これまでの三本の法律は、対象が民間事業者、行政機関、独立行政法人と異なっていたこともあり、規制のあり方や個人情報の定義などで異なる部分がありましたが、今回の法律の一本化で共通のルールとなりました。 

 

(2000個問題への対応) 

 いわゆる「2000個問題」への対応としては、今回の新たな個人情報保護法で、全国的な共通ルールが法律で規定され、これが各地方自治体の個人情報保護制度にも適用されることとなりました。

 具体的にはどうなるのかについて、国会での答弁等を見ると、改正法と同趣旨の条例や、矛盾する条例は廃止されることになるようです。そして、法律の範囲内で「地域の特性に照らして特に必要のある場合」に限り、条例で独自措置を講じることができるということでした。

 これらについて、具体的な条文を見てみようと思ったのですが、法改正の概要資料等に条文の記載がなく、どうにもよくわかりません。。ですが、分からないなりに考えてみると、以下の条文にこれらの趣旨が織り込まれているのかなと、個人的には思い至りました。

地方公共団体の責務)
第五条 地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その地方公共団体区域の特性に応じて、個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。

 

 いずれにしても、個人情報の取扱いのルールの統一化が図られたことで、データの流通の支障が解消されることを期待したいと思います。

 

(参考)

www.ppc.go.jp