デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

第211回国会のデジタル関係法(11)地方自治法の改正

地方自治法の一部を改正する法律)

 今年の通常国会で成立した法律のうち、デジタル関係の法改正を見ていく11回目です。今回は、閣法39号として提出された「地方自治法の一部を改正する法律」について見てみます。

 提出理由は、以下の通りです。

地方議会の活性化並びに地方公共団体の運営の合理化及び適正化を図るため、地方制度調査会の答申にのっとり、地方議会の役割及び議員の職務の明確化等を行うとともに、会計年度任用職員に対する勤勉手当の支給を可能とする規定の整備、公金事務の私人への委託に関する制度の見直し等の措置を講ずるほか、所要の規定の整備を行う必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 

この「地方議会の役割及び議員の職務の明確化等を行う」の「等」の内容として、「請願書の提出等のオンライン化」に関する改正が含まれています。

 

(請願書の提出等のオンライン化)

 地方自治法の怪異性の概要資料(https://www.soumu.go.jp/main_content/000865593.pdf)を見ると、以下の内容が記載されています。

 

請願書の提出等のオンライン化

○地方議会に対する住民からの請願書の提出や国会に対する地方 議会からの意見書の提出など地方議会に係る手続(※)について、 一括してオンライン化を可能とする。

※現行法上、住民と議会、議会と国会等の間の手続は、情報通信技術を活用した行 政の推進等に関する法律(平成14年法律第151号)の適用対象外

 

 県庁や市役所が手続きの受け手となるような、行政手続については、デジタル手続法(情報通信技術を活用した行 政の推進等に関する法律)により、オンライン手続きが可能となっていますが、議会の関係の手続きは、(議会が行政機関ではないため)デジタル手続法の適用がないわけですね。

 それで、今回の改正で、議会の手続きについてのオンライン化の規定を、地方自治法上に置くということになっているようです。

 新しく設けられた「仮名加工医療情報」とは、他の情報と照合しない限り、個人を特定できないよう加工した情報のことです。個人情報から氏名やID等を削除したものですが、匿名加工医療情報とは異なり、特異な値や希少疾患名等の削除を行いませんので、研究などでのデータの有用性をより確保することができます。ですが、一方で個人情報の保護が必要なため、仮名加工医療情報の作成事業者や、仮名加工医療情報の利活用者は、国が認定する仕組みとなっています。

 

(改正後の条文)

 今回の改正によって新設された第138条の2は、以下のような条文です。

第百三十八条の二 議会等に対して行われる通知のうちこの章(第百条第十五項を除く。)の規定において文書その他の人の知覚によつて認識することができる情報が記載された紙その他の有体物(次項において「文書等」という。)により行うことが規定されているもの(情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第七条第一項の規定が適用されるものを除く。)については、当該通知に関するこの章の規定にかかわらず、総務省令で定めるところにより、総務省令で定める電子情報処理組織(議会等の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この項及び第四項において同じ。)とその通知の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。以下この条において同じ。)を使用する方法により行うことができる
② 議会等が行う通知のうちこの章(第百二十三条第四項を除く。)の規定において文書等により行うことが規定されているもの(情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律第六条第一項の規定が適用されるものを除く。)については、当該通知に関するこの章の規定にかかわらず、総務省令で定めるところにより、総務省令で定める電子情報処理組織を使用する方法により行うことができる。ただし、当該通知のうち第九十九条の規定によるもの以外のものにあつては、当該通知を受ける者が当該電子情報処理組織を使用する方法により受ける旨の総務省令で定める方式による表示をする場合に限る。
③ 前二項の電子情報処理組織を使用する方法により行われた通知については、当該通知に関するこの章の規定に規定する方法により行われたものとみなして、この法律その他の当該通知に関する法令の規定を適用する。
④ 第一項又は第二項の電子情報処理組織を使用する方法により行われた通知は、当該通知を受ける者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該者に到達したものとみなす。

 

 電子情報処理組織を利用して行うことができるとする点や、みなし規定(第3項)、到達時の規定(第4項)など、デジタル手続法の規定と似ていますね。

 

 なお、余談ですが、とても多くの改正が行われてきている地方自治法については、以下の総務省のサイトで、一覧で見ることができます。とても便利ですので、ご紹介します。

www.soumu.go.jp

 

(参考)

www.soumu.go.jp

ura49.hateblo.jp