(デジタル手続法とは?)
デジタル庁の所管する法律の一つに、デジタル手続法という法律があります。行政手続のオンライン化を進める行政手続オンライン化法が、2019年に改正されてできた法律ですが、行政手続のデジタル化に関する通則法として重要な役割を果たしています。
行政手続法の解説動画などで紹介されていることもあるようですが、一般的にはあまり知られていない法律ではないかと思いますので、デジタル化の通則法へのリスペクトの気持ちも込めて、その内容を見ていきたいと思います。
ちなみに、デジタル手続法の正式名称は、「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律」です。どことなくキャッシュレス法に似てますね。。
(デジタル手続法の目的)
デジタル手続法の第1条には、法律の目的が定められています。とても長くて分かりにくいので、その条文から読み解くのは難しいのですが、法案提出時の資料などの記載を参考にすると、「情報通信技術を活用し、行政手続等の利便性の向上や行政運営の簡素化・効率化を図るため、」「行政のデジタル化に関する基本原則及び行政手続の原則オンライン化のために必要な事項を定めること」が、この法律の目的と考えてよいと思います。
後半のカギカッコで書いた目的のうち、「行政のデジタル化に関する基本原則」の方は、行政手続法の解説などとともに紹介されていることが多いようです。一方で、「行政手続の原則オンライン化のために必要な事項」の方に関係する、申請や処分通知などの行政手続のデジタル化に関する規定は、あまり紹介したものが見当たらないようなので、ここでは少し丁寧に条文を見てもいいかな、、と思っています。
(デジタル手続法の構成)
デジタル手続法の目次を見ると以下のようになっています。
第一章 総則(第一条―第三条)
第二章 情報通信技術を活用した行政の推進
第一節 情報システム整備計画等(第四条・第五条)
第二節 手続等における情報通信技術の利用(第六条―第十条)
第三節 添付書面等の省略(第十一条)
第四節 その他の施策(第十二条・第十三条)
第三章 民間手続における情報通信技術の活用の促進に関する施策(第十四条・第十五条)
第四章 雑則(第十六条―第十九条)
附則
第1章の総則では、先ほど説明した第1条の目的規定のほかに、第2条では、デジタル化の基本原則として、以下の3つの原則が定められています。
①デジタルファースト:個々の手続・サービスが一貫してデジタルで完結する
②ワンスオンリー:一度提出した情報は、二度提出することを不要とする
③コネクテッド・ワンストップ:民間サービスを含め、複数の手続・サービスをワンストップで実現する
第2章では、申請や処分通知などの行政手続のオンライン化に関する規定が、第2節に置かれています。第2節にある具体的な条文は、次回以降見ていきたいと思いますが、この前に、第2章第1節には、「情報システム整備計画」に関する規定が置かれています。この「情報システム整備計画」は、国の行政機関等の情報システムの整備を総合的・計画的に実施するために定めることとされていて、デジタル庁の重要な業務になっていますので、一言だけ触れさせていただければと思います。
第3章には、民間と行政がよく連携しましょうとか、民間手続のデジタル化のために環境整備をしましょうという理念的な規定が置かれています。第4章以降は、もう省略でいいですよね…。
今回、長くならないように、条文を引用するのを避けたのですが、それなりの長さになってしまいました。他であまり取り上げられてない、行政手続のデジタル化に関する規定は、次回以降見ていきたいと思います。取り上げられてないというのは、需要がないということかもしれませんが、むしろそこがいいんじゃない、と思ってくれる人もいるのではないか、、と勝手ながら思っています。
(参考)